2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21186
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
飯田 洋介 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50506152)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 西洋史 / 外交史 / ビスマルク外交 / 独米関係 / プロイセン海軍 / アメリカ海軍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、南北戦争直後の米国にプロイセン首相ビスマルクが接近を試みていたことを示す史料を手掛かりに、独米関係という視角からビスマルク外交を再検討するものである。二年目である本年度は、考察対象時期を1867年から独仏戦争期(1870~71年)にまで広げた上で、当初は①先行研究の収集と整理、②米国での史料調査を目標に設定していた。
このうち②に関しては、平成27年度の研究実施状況報告書にも記載したように、このときのビスマルクの対米政策がイギリスを巻き込んだ海洋問題(1856年4月のパリ宣言改定問題)と関連していることが平成27年度の史料調査で明らかになったため、当初の計画を変更してドイツとイギリスで史料調査を行うことになった。
以上の点を踏まえた上で、本年度の研究実績としては、関連文献並びにドイツとイギリスでの未公刊史料の収集を挙げることができる。具体的には、2016年9月にベルリンにあるドイツ連邦文書館とドイツ外務省文書館を訪問し、そこで独仏戦争期のプロイセン外交文書(特に普米間の政治問題に関するワシントン駐在プロイセン公使と外務省間のやり取り、プロイセン海軍に関する文書、戦時の船舶航行に関する文書)を調査して史料収集に努めた。また、2017年3月にはキューにあるイギリス国立公文書館を訪問し、そこで独仏戦争に関連するイギリス外交文書(特にベルリン駐在イギリス大使ならびにワシントン駐在イギリス公使と外務省間のやり取り)を調査して史料収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に設定した目標2点(①先行研究の収集と整理、②米国での史料調査)を(②については調査先を米国からドイツとイギリスに変更したものの)ある程度達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(本研究課題最終年度)は、本年度と同様に考察対象時期を独仏戦争期に限定して、この時期のビスマルクの対米政策と独米関係の解明に努め、本研究課題の総括と研究成果の公開を目指す。具体的には、これまでと同様に国内外で史資料を精力的に収集する一方、研究報告や学術論文を通じて研究成果の公開を行っていく予定である。
史資料収集に関しては、当初の計画ではドイツでの史料調査を予定していたが、本年度行うことができなかった米国での史料調査を次年度に行いたい。その際、当時ベルリンに駐在していた外交官の私文書を調査すべく、訪問先をボストン(Massachusetts Historical Society)とニューヨーク(New York Public Library)に変更することを検討している。
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Causes of Carryover |
本年度は史料複写代(海外の文書館での委託業者による複写)がかさむものと思われていたのだが、ベルリンのドイツ連邦文書館に訪問した折、試験的に持参したデジタルカメラを使っての史料複写が認められ、それが大幅に浮いたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ここで生じた次年度使用額は、次回の海外での史料調査のための費用にまわしたい。
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