2017 Fiscal Year Research-status Report
多様な第二言語・外国語教育の連携と、その変数―山口県をフィールドとした調査研究
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15K21196
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 冴里 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (00634750)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 複言語主義 / 連携 / ヨーロッパ / ネットワーク / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、対象言語や対象年齢層、機関の性質などの点で多様な第二言語・外国語教育(日本語教育を含む)が、相互に、どのように連携していける可能性を持つのかを、具体的に提示することである。そのために、本年度は、昨年度までの関連文献および山口県での現状調査を踏まえ、おおむね3種に分けられる活動を行った。すなわち、1)北東アジア地域で、北東アジアの異なる地域の国家語を教えている言語教師(たとえば、韓国で日本語を教えている教師や、日本で中国語を教えている教師)のネットワーク作り、2)年少者を対象とした、多様な言語への目覚め活動教材作成、3)所属機関における、多様な言語を取り込んだ授業の実施と、当該授業を対象とした実践研究である。
1)については、2018年3月に、北京、釜山、台中、東京、博多の、日本語・韓国語・中国語・英語を教える言語教育研究者と会合を持ち、今後の協力関係のための礎を作った。2)については、作成した教材を、2018年初夏より、山口市内で試用の予定である。3)については、学会発表と実践報告論文の公開を行った。
これらは、いずれも申請時の研究計画には記載の無い、当初は予定していなかった内容であるが、一方、当初の予定にあった、「山口県内で、特に歴史的あるいは地政学的状況から日本語以外の言語とも繋がりの深い4地域」における、複言語話者へのインタビューを含むエスノグラフィックな調査については、実施を取りやめている。このような変更の理由は下方の項目に記すが、研究目的そのものは変更されていない点を強調しておきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述のように、本年度、研究計画を申請時点に予定していた研究の進め方からは大きく変更した。これは、(1)前年度までの研究結果から、変更したほうが良いと判断したからでもあり、また、(2)研究者が、幼児の育児により、エスノグラフィックな記述を可能にするだけのフィールドワークの時間がとれなくなったから、でもある。 研究計画に変更を加えたことにより、今年度は大きな進捗が見られたが、十分な成果公開には至っていない。そのため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に実施した3種類の活動を、それぞれ発展させる。 1)北東アジア地域で、北東アジアの異なる地域の国家語を教えている言語教師(たとえば、韓国で日本語を教えている教師や、日本で中国語を教えている教師)のネットワーク作り:平成30年度中に、よりネットワークを強くするための研究会を開催する。 2)年少者を対象とした、多様な言語への目覚め活動教材作成:幼稚園、保育園での試用と教諭らによるフィードバックを得て、教材を改善する。 3)所属機関における、多様な言語を取り込んだ授業の実施と、当該授業を対象とした実践研究:こうした実践によって、複言語能力がどのように伸びたのか、という点について、論文の形での成果公開を目指す
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、研究計画を変更してフィールドワークを実施しなかったことである。翌年度分助成金は、主として成果発表と、成果をまとめる過程で必要になるだろう補助的な調査のために用いる。
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