2016 Fiscal Year Research-status Report
経済成長下のジャワ島における農業経営主体の変動による自然資源管理システムへの影響
Project/Area Number |
15K21207
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
遠藤 尚 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (40532156)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農業経営 / 自然資源管理 / 経済成長 / ジャワ島 / 野菜 / 水稲稲作 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度8月~9月に、西ジャワ州レンバン郡スンテンジャヤ村(プリアンガン高地農村)、および、西ジャワ州チランジャン郡チビウク村、シンダンジャヤ村(プリアンガン高地盆地部水稲稲作農村)において、各10世帯を対象としたアンケート票を用いた聞き取り調査を実施した。聞き取り内容は、各世帯の属性、農業経営状況と農地および水資源の利用実態についてである。その結果、プリアンガン高地農村については、都市向けの野菜作の無秩序な拡大によって、土壌流出や水資源の減少などの問題が起こりつつあることが明らかとなった。また、盆地部水稲稲作農村2村については、水稲稲作の衰退と現地住民の想定を上回る主要道路近辺における水田から工場への土地利用の転換が大きく進んでいることが分かった。加えて、同時期にレンバン市内において、野菜の中間業者への聞き取り調査を行い、産地から大都市への野菜の流通体制を把握した。この業者に対する聞き取り調査からも、プリアンガン高地における野菜作の生産、流通が無秩序な状況にあり、自然資源利用の管理体制が整っていないことが明らかとなった。 以上のように、3村におけるアンケート票を用いた聞き取り調査等により、ジャワ農村における農業経営の実態と自然資源管理の状況を明らかにすることができた。これらの現地調査の結果は、本研究の最終目的である、経済成長が長期的に続く発展途上国農村における農村と農業、自然資源管理の関係の解明において、中核を占める重要なものであるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
8月、9月に実施した第1回目の現地調査を元に、平成28年度中に2回目の調査を行う予定であったが、海外研究協力者の所属大学において、海外からの研究受け入れ手続きが厳格化したため、年度内の実施が困難となり、現地調査が次年度に持ち越されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度内に実施できなかった西ジャワ農村における2回目の現地調査を、平成29年度前半(8月予定)に実施するとともに、中部ジャワ農村における現地調査を平成29年度10月を目指して準備する。また、平成28年度に実施した現地調査の結果を元に、学会報告および論文執筆・投稿を行う。また、平成29年度は最終年となるため、3月を目処に海外研究協力者等を対象とした報告会の実施を目指す。
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Causes of Carryover |
海外研究協力者の所属校(ボゴール農科大学)における海外からの研究受け入れ体制とそれに伴う手続きの厳格化が発生し、平成28年度中に実施予定だった2回目の現地調査の実施が次年度に持ち越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の未使用分については、平成29年度の8月の実施に向けて、厳格化した体制に従った現地調査申請手続きを進めている。また、他の海外研究協力者の元での現地調査も同時に実施できるよう打ち合わせを進めている。翌年分として申請した分については、研究計画の通り、次年度後半の補足調査と現地での報告会開催のために使用予定である。
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