2015 Fiscal Year Research-status Report
温和な条件で導入可能なPMB代替保護基の開発と全合成への応用
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15K21210
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥飼 浩平 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20456990)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 保護基 / NAPOM基 / BOM系保護基 / 酸化的除去 / 加水素分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
p-メトキシベンジル(PMB)保護基は,後に酸化的条件下容易に除去出来るため有用であるが,導入条件の過酷さがしばしば問題になる.改良保護基であるPMBオキシメチル(PMBOM)基は比較的穏和な条件(Et(i-Pr)2N, CH2Cl2, rt)で導入可能だが,PMBOM基さえも導入できない不安定な基質も存在する.またPMBOMClは-20 °C下で3日以内に分解してしまうため,要時調製が必要であるという問題も抱えていた. 今回PMB、PMBOMの代替保護基として2-ナフチルメトキシメチル(NAPOM)基を考案,開発した.従来よりも更に穏和な塩基性条件(2, 6-lutidine等)で保護基を導入できることを見出したため,1, 2-ジオールやベンジルクロリド等の不安定な基質も副反応を伴うことなく保護することが初めて可能になった.導入剤のNAPOMClは-20 °C下で1年間以上保存出来る程安定であった.また,NAPOM基は酸化的条件及び酸性条件下でPMBやNAP基など既存のベンジル系保護基との外し分けが可能である事も見出した. さらに1-ナフチルメチル(1-NAP)基や1-ナフチルメトキシメチル(1-NAPOM)基の性質も検討し,保護基として利用できることも明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
大学移転で多忙の中,当初,今年度の到達目標として掲げていた①様々なアルコール,フェノール,カルボン酸,およびチオールに対するNAPOM保護・脱保護条件の決定,②不安定な基質の保護条件の決定,③選択的除去条件の決定,④上市の全てを達成し,特許・論文を発表するとともに,1-NAP, 1-NAPOM基の保護基としての可能性まで検討できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,開発したNAPOM基を天然有機化合物の全合成に適用し,その有用性を示す.
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Causes of Carryover |
キャンパス移転に伴い実験を中断した期間が予想よりも長かったため物品費が予想を下回ったため.また旅費を節約したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度余剰金は,半分を天然物合成に必要な薬品やガラス器具の購入費に,半分を旅費(予想以上に早く結果を出すことが出来たので発表の機会を増やす)に再度振り分け使用予定.
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Research Products
(7 results)