2015 Fiscal Year Research-status Report
集積化ナノファイバーによる光機能融合センサデバイスの実現
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15K21212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 和広 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (40455449)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノファイバー / 表面プラズモン / 光センシング / 集束イオンビーム / 近接場光学 / FDTD法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では光ファイバーセンサーの微小化、集積化及び高機能を目指し、コア径を光波長以下としたナノファイバーを基板上集積する新規技術を発展させ多点多機能化を図ることを目的とする。平成27年度の計画は申請者の開発した新規ナノファイバー作製法を目的に合致した構造作製に適用するため、数値計算による設計および作製方法の改良を行った。まず有限差分時間領域法(FDTD法)ソフトウェアにより、ナノファイバー外部の溶液の屈折率により光の導波モードが変化することを確認し、設計に適用した。また作製に関しては従来時間管理によって行っていた緩衝フッ酸溶液によるファイバーエッチングを透過スペクトルを確認しながらエッチングする手法を適用することで異種ロット間でも目標コア径(500nm以下)で誤差が±55nmとできることを確認した。また作製したナノファイバーを用いた溶液の屈折率センシングを実施し、メタノールとクロロホルムを6dBの透過光パワーの変化から計測に成功した。また次年度に先立ちフォトニック結晶構造、プラズモン構造導入による感度、選択性向上を図るため数値計算による構造探索を行った。フォトニック結晶構造の導入では波長850nmに透過率ディップが生じる構造を設計し、集束イオンビーム加工によって構造試作を行い、波長815nmにほぼ設計どおりの透過率ディップを観測した。また表面プラズモン構造についてはナノファイバー内に金属ナノ周期構造を導入することでモード変換を生じることを数値計算により確認し、センシングへの応用を検討した。これらの結果について光メタマテリアル、表面プラズモンに特化した国際会議にて発表しセンシングだけでなく量子情報処理への適用可能性を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目標は、申請者が開発したナノファイバー作製法の最適化および高精度化を行うことであり、光透過スペクトル測定を行うことでコア径500nm以下、精度±55nmを異種ロット間でも実現した。また多点センシングを行うための同一ファイバー内への複数のナノファイバー領域の作製にも成功した。感度は未だ目標に達していないが、改善のために次年度に先立ちフォトニック結晶および表面プラズモン構造を導入した構造設計を行い感度向上の見込みを得たことによりおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に数値計算により設計したナノ構造導入ナノファイバーを作製し、目標感度および多点多機能光センシングデバイスを実現する。現状では溶液の屈折率差をインラインで10μmの領域で検出はできるもののの、検出感度は異種溶液間で6dBと必ずしも大きいとはいえない。そこでフォトニック結晶構造による透過光ディップを用いた手法、金属構造の導入によるモード変換を用いた手法を実施し、最終目標として20dBの信号変化を実現する。 またナノファイバーを発展させた金属コートナノテーパー構造を作製し、テーパー先端部での強い光電界増強を用いた光センシング手法を確立しナノファイバーとの融合を図る。金属テーパー構造(円錐、楔など)は適切な偏光で励起されるとテーパー先端での顕著な光電界増強が起きることが知られている。これに対し申請者のナノファイバー作製法を応用することで光ファイバーのテーパー構造を近接、対向して形成できる。すでに数値計算によって波長1064nmにおいてテーパー対によって形成される間隙(ナノギャップ)中央において入射光の110倍の電界増強が生じることを確認している。そこで本手法を適用することで金属コートテーパー化光ファイバー対を作製し先端での電界増強を光信号として取り出す方法(二光子励起発光、蛍光増強など)を検討し高感度センシング技術への適用を目指す。 また光センシング応用だけでなく、量子情報処理への応用などを国内外での学会発表および論文発表にて議論し展開を図る。
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Causes of Carryover |
本研究課題では分散補償型光ファイバーを用いるが、従来使用していた製品が絶版となり、本年度は代替となる光ファイバーを少量にて評価、検討した。そのため予定していた物品(光ファイバーおよび適した光学部品類)を評価の後の導入とするため物品費の次年度への繰越が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の評価の結果、代替となる光ファイバーの選定ができたので次年度に光学部品とともに導入する。また当初計画どおり外部研究機関への構造作製のための旅費を経年的に計上するとともに成果発表および学会誌投稿料を計上する。 また基板上集積化のためには光ファイバーをシリコン基板上に固定することが必要だが、本年度より自作の光露光装置を用いて構造作製を行うため、作製に最適な構造作製用フォトレジストを導入する。さらに金属テーパー化ファイバーを評価(蛍光測定)するための量子ドットを電界増強の大きな波長域を踏まえて選定、導入する。
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Research Products
(1 results)