2018 Fiscal Year Annual Research Report
The funeral ritual and Ruling order in Japan's premodern society
Project/Area Number |
15K21216
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 洋平 九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (40737243)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 喪葬儀礼 / 服喪 / 君臣秩序 / 官僚制 / 儒教 / 礼 / 東アジア / 王権 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、前年度に引き続き、大日本史料の喪葬儀礼記事のPDF化を行ったが、南北朝時代の正平10年・文和4年(1355年)までで一旦終了し、第10代室町幕府将軍・足利義材(義稙)の父である義視(大智院殿)の喪葬儀礼を考察した。具体的には、『蔭凉軒日録』の延徳三年(1491)正月七日から始まる一連の喪葬関係記事の読解を行った。義視の喪葬儀礼は、鹿苑院主・蔭涼軒主はじめ相国寺塔頭の諸職が深く関与しており、その理解に資するため当該期の禅林組織に関係する諸論文・書籍・辞典等を収集した。また、葬送と関係深い「浄衣」の着用について、『武家故実雑集』等の写本史料画像を入手した。 ついで、君主の喪葬に関わる近臣や侍臣のあり方を考察するという前年度来の課題について研究を進めた。内容は、昨年度『東方学』135輯に掲載した北魏文明太后死去時の服喪儀礼論文から発展した、中国皇帝や古代天皇喪礼時の近臣服喪の考察である。服喪する近臣の官僚制枠内での位置づけという視点をもって、中国側では『魏書』『晋書』、日本側では『続日本後紀』や古記録類から関係史料を収集し、読解を行った。この考察の途中経過は、第25回「東アジア后位比較史研究会」で報告した。今後、検討を続けていく予定である。 研究期間全体を通して、前近代日本のみならず、中国皇帝や皇后死去時の喪葬儀礼も考察し、その成果を大会・学会誌において発表した。また、日本の葬送儀礼の背景にある儒教の受容についても、学会・大学紀要において発表することができた。その他、東アジアの王朝儀礼の研究動向を知ることができる「東アジア儀礼文化研究会」「東アジア后位比較史研究会」に参加したこと、また、日本古代から近世、そして中国諸王朝の儀礼・宗教・政治・制度についての研究文献、刊本史料および写本史料(紙焼き・デジタル画像)を収集できたことは、今後の喪葬儀礼研究にも有益である。
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