2015 Fiscal Year Research-status Report
不妊原因解明を目指した精子形成必須の細胞間架橋内物質輸送関連因子スクリーニング
Project/Area Number |
15K21217
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩森 督子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10711509)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精子形成 / 細胞間架橋 / RNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞は細胞分裂後、生殖細胞間架橋(ICB)で連結したまま分化する。ICBは欠損すると雄性不妊になり精子形成に必要不可欠である。我々はICBの形成維持機構の核となる部分を解明できたが、その存在意義は不明なままであった。ICB機能解明を目標に、ICB関連因子のスクリーニングを行うことにした。平成26~27年度に、新学術領域研究として、ICB関連タンパク質の網羅的なスクリーニングを行った。本若手B研究では、平成27年度にICB関連RNA集団のプロファイリング、また、既に我々がICBタンパク質として以前報告したRNA binding protein 44 (RBM44) に関して結合RNAの同定を行う計画であった。 計画通り、マウス精巣からICBを濃縮精製しRNAを回収した。RNAシークエンスを行う予定であったが、ICB濃縮精製の際に非特異なRNAが濃縮されてきた可能性を払拭できなかったため、RNAシークエンスに進める事を断念した。その代わりに、作製していた抗体が完成したため、これら抗体を用いてRNA免疫沈降(RIP)を行う計画に変更した。RIPには5種類の抗体を用いた。そのうち3種類の抗体で成功しRNAを回収した。それぞれのサンプルからトータルRNA、高分子と低分子に分けたRNAのうち低分子RNAのみの2種類からライブラリーを作製し、現在RNAシークエンスに進もうとしている。実験計画を変更したため、時間的に遅れを生じたが、より洗練されたシークエンス結果が期待できる。また同時に、一分子結合を期待してタグつきタンパク質を細胞で発現させ、精巣RNAとの結合を試み、RNA回収とRNAシークエンスを行う計画を追加する。 網羅的でありながら厳選された因子の同定を行う事により、ICBの機能解明へ重要な手がかりが得られる。成果は基礎から応用まで幅広い分野で活用されると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画通り、1、2、3、8週令のマウス精巣からICBを濃縮精製し、このICB濃縮精製物からRNAのみを回収した。RNAシークエンスを行う予定で、RNAの確認実験を行った際に、ICBの関連RNAよりICB濃縮精製の際に濃縮されてきた非特異なRNAの方が断然多い可能性があると判断したため、RNAシークエンスに進める事を断念した。その代わりに、作製していた抗体が完成したため、これら抗体を用いてRNA免疫沈降(RIP)を行う計画に変更した。RIPには5種類の抗体を用いた。そのうち3種類の抗体で成功しRNAを回収した。それぞれのサンプルからトータルRNA、高分子と低分子に分けたRNAのうちの低分子RNAのみの2種類からライブラリーを作製しRNAシークエンスに進める。実験計画を変更したため、時間的に遅れを生じたが、より洗練されたシークエンス結果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定を変更して行った3種類の抗体を用いたRIP解析で得られたトータルRNA、低分子RNA2種類からライブラリーを作製しRNAシークエンスに進める。次世代シークエンスの解析には計画当初から時間がかかる事は予想していたが、遅れが生じたため、網羅的に細胞実験や動物実験に進めることが出来る検体が減る事が予想される。解析に予定していた時間を縮める事は得策とは判断しないため、重要なRNAを同定できるように追加実験として、一分子結合を期待してタグつきタンパク質を細胞で発現させ、精巣RNAとの結合を試み、RNA回収とRNAシークエンスを行う計画を追加する。
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Causes of Carryover |
研究計画をやもなく変更せざるを得ない判断に至ったため遅れが生じ、次世代シークエンスによる解析という高額な実験が次年度に持ち越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額が生じた理由でもある、修了できていない次世代シークエンスによる解析を行うために用いる。
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