2016 Fiscal Year Research-status Report
不妊原因解明を目指した精子形成必須の細胞間架橋内物質輸送関連因子スクリーニング
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15K21217
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩森 督子 九州大学, 医学研究院, 助教 (10711509)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生殖生物学 / 精巣特異的細胞間結合 / 精子形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
体細胞分裂では細胞同士が完全分裂するが、精巣や卵巣では生殖細胞同士が環状のIntercellular bridge(ICB, 細胞間架橋)で結合した状態で増殖と分化を続ける。 申請者らの研究から、ICBの形成維持機構が解明され、その欠損は雄性不妊を導くことから精子形成に不可欠である事は分かったが、細胞間輸送やシンクロナイゼーションなどその作用に関しては憶測の域を出ず、その機能は未だに不明である。ICB構成因子同定やその生理現象解明は、精子形成の特徴にも関わらず一向に謎であった細胞連結増殖の謎を解き明かす事となり、 網羅的なプロファイリングだけでも重要な知見となる。さらに、その成果は、体外培養系での精子産出実現へのヒント獲得、一不妊原因の解明にもつながるはずである。また、優良家畜動物生産や野生動物維持への応用が期待される。 そこで、本研究はマウス精子形成におけるICBの意義、特に物質輸送の有無とその機能に関わる因子の同定を目的とする。 マウス精巣ICB濃縮画分のプロテオミクス解析から同定した新規RNA結合タンパク質RBM44は精巣において特徴的な発現と局在を示すが、そのノックアウトマウスでは精子数は野生型オスの約二倍、一出産あたりの産子数が多い傾向が示されたものの精子形成異常が見られなかった。RBM44はRNA結合タンパク質であり、ターゲットRNAに結合する代替タンパク質の存在も予測される。 申請者が目標とするICB研究全体像は、精子形成のステージごとのICB関連タンパク質/RNAプロファイリングを行い、連携プレイを行うタンパク質とRNAの構成を同定し、最終的にICB関連因子をイメージングで解析する事を目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は新学術領域の公募研究(H26-H27)の継続研究として、細胞間架橋関連因子の同定や機能解析が目標である。本研究はRNA側からのアプローチをメインに予定していたが、専攻していたタンパク質側からのアプローチから興味深い結果が出ており、タンパク質からの解析を優先させることが結果として細胞間架橋関連RNAのスクリーニングにも有効と考え、タンパク質の複合体同定を行った。その間に、解析用RNAサンプルをより有効な結果が得られるようにその良質維持とDNAなど不純物の除去など精度をあげられるよう検討した。また、タンパク質側からの解析では新規精巣高発現タンパク質KIAA1210が得られ論文発表に至った。現在、KIAA1210のノックアウトマウスを作製解析中である。RNAのスクリーニングは計画的に遅れたが、解析用サンプルは準備できており事業延長の平成29年度中に終わる予定である。全体的な研究目的の達成度としては良好であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ICB濃縮精製物からはDNAもRNAも大量に回収された。RNAを良質に残しDNAの除去に成功したが、これら核酸がICBと結合した状態で濃縮されたのか、手法的に濃縮されたのか疑問が残り、このサンプルを用いて続くRNAライブラリー作製および次世代シークエンスに進むことを断念した。バックアップ実験に予定していたRBM44抗体に加え、タンパク質側からの解析によって得られた候補遺伝子2種の抗体を追加し、RNA免疫沈降を行いRNA回収に成功した。このサンプルを次世代シークエンス解析に用いる予定で進めている。ICB関連タンパク質の同定やその候補選択が進んでおり、そのタンパク質の中にはRNA結合タンパク質も複数同定されている。これらをRNA解析結果と合わせて検討する。タンパク質側のアプローチで培養系を用いた細胞内過剰発現系では有効な情報が得られていない事から、本年度はタンパク質工学を駆使してICB関連タンパク質とその複合RNA同定を主に予定している。
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Causes of Carryover |
2017年2月に掲載された論文の印刷代請求を予想して予想金額を年度末まで使用せず残していたが年度内に請求書が届かなかったため。 RNAシークエンスを次年度に事業延長し、代わりに進んでいるタンパク質解析用抗体など購入に使用し残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
掲載された論文の印刷代に使用する。 また、残額だけではRNAシークエンス解析は行えないが、その他の研究費と合算し延長事業を遂行する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Astrocytic and neuronal localization of kynurenine aminotransferase-2 in the adult mouse brain.2016
Author(s)
Heredi J, Berko AM, Jankovics F, Iwamori T, Iwamori N, Ono E, Horvath S, Kis Z, Toldi J, Vecsei L, Gellert L.
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Journal Title
Brain Struct Funct.
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] In vivo dynamics of GFRα1-positive spermatogonia stimulated by GDNF signals using a bead transplantation assay.2016
Author(s)
Uchida A, Kishi K, Aiyama Y, Miura K, Takase HM, Suzuki H, Kanai-Azuma M, Iwamori T, Kurohmaru M, Tsunekawa N, Kanai Y.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun.
Volume: 476(4)
Pages: 546, 552
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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