2017 Fiscal Year Annual Research Report
Ocean heat content variability in the western tropical Pacific region through the Mid-Pleistocene climate transition
Project/Area Number |
15K21221
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐川 拓也 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (40448395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱帯太平洋 / 古水温復元 / 浮遊性有孔虫 / 氷期-間氷期サイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
オントンジャワ海台で採取されたPC4コアについて浮遊性有孔虫の酸素炭素同位体比分析が完了し,年代モデルの作成を行った.その結果,PC4コアの酸素同位体比は氷期-間氷期サイクルを詳細に記録し,過去100万年間を記録していることが明らかになった. 今年度はさらに,表層水温と躍層深度水温を復元するために,2種の浮遊性有孔虫Globigerinoides ruber(表層種)とPulleniatina obliquiloculata(水温躍層種)のMg/Caを分析した.本課題における前年度までのセディメントトラップ試料の分析結果に基づくと,P. obliquiloculataの石灰化水深は約120 mであり,殻のMg/Caは石灰化水深の水温を良く記録している.そのため,本有孔虫種は躍層深度付近の過去水温変動を復元するのに適しており,表層種と躍層種の2種に基づく水温の差を見ることで鉛直的な水温構造を復元することができる. PC4コアを用いて復元された表層水温の変動は,明確な氷期-間氷期サイクルを示し,間氷期は氷期に比べて3-4℃程度高い水温を示した.また,その変動パターンは南極氷床コアから報告されている大気二酸化炭素濃度復元結果と非常に類似した変動を示した.特に,約45万年前を境に大気二酸化炭素濃度の氷期ー間氷期振幅が変化する特徴が表層水温にも確認できることから,過去80万年間を通して西部熱帯太平洋域の表層水温が温室効果ガスによる放射強制力に対して鋭敏に応答してきたことが確認された.一方,躍層深度における水温変化は氷期ー間氷期サイクルを示すものの,表層水温とは若干異なる変動を示した.表層では各氷期の水温がほぼ一定であるのに対し,躍層では各氷期で異なった水温を示し,長時間スケールの変化が確認された.このことは鉛直水温構造の変化が二酸化炭素変動とは別の要因で引き起こされていたことを示唆する.
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