2015 Fiscal Year Research-status Report
光電デバイスの反応活性化による低コスト・高性能ポリマー触媒の開発
Project/Area Number |
15K21223
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
SEO HYUNWOONG 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (00618499)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリマー / 触媒 / 光電デバイス / ナノ粒子 / 反応活性化 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
白金、金などの従来の触媒は、高い触媒活性度にもかかわらず、高コスト、希少性の限界があり、代替材料の研究が必要である。本研究は代替触媒材料としてポリマーを研究する。ポリマーは低コスト材料として、様々な特性を具現できる長所があるが、低い触媒活性度が弱点である。光電デバイスでの触媒材料の低い反応活性度は電子輸送のボトルネックになり、出力電流と効率の低下をもたらす。ここでは、ポリマー触媒の反応活性度を従来の白金以上に向上させる方法を研究する。 1次年度には多様な半導体材料を用いてポリマー触媒の反応活性度を向上させる研究を行った。平坦なポリマー(PEDOT:PSS)膜の狭いポリマー/電解液の界面がポリマー触媒の低い反応活性度の主な原因の一つである。ポリマー膜の表面積を増加させるためにナノ粒子を導入した。ナノ粒子の表面にポリマーがコーティングされ、ポリマー/電解液の界面が大きく広がる。ここではAl2O3、ZrO2、TiO2、Si3N4、V2O5、WO3、ZnO、SnO2、SiO2の9種のナノ材料が適用された。強酸のPSSと激しく反応したZnOとSiO2を除いた7種のナノ材料をポリマーに適用し、対向電極材料として使用した結果、TiO2、Si3N4、SnO2がポリマー触媒の反応度を活性化し、向上した光電変換特性を示した。特に、TiO2は従来の白金対向電極の効率7.59%より高い8.27%の効率を示した。本研究成果は国際電気化学会、PVSEC、EMN meeting(招待講演)などの有名な国際学会で発表されたし、2016年3月英文ジャーナルJournal of Power Sourcesに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請書上の達成目標と現在の進捗状況は以下の通りである。 (1) 触媒反応による電子供給速度、電子寿命の測定、分析: ポリマーと従来の白金の触媒反応をサイクリックボルタンメトリー測定、分析によって触媒活性度の差を明確にしてインピーダンス分析から電荷移送抵抗、デバイス内部での電子寿命を測定、比較した。低い反応度のポリマー触媒は白金触媒より大きな内部抵抗を示し、電子輸送のボトルネックが確認できた。 (2) ポリマー触媒の反応活性度の向上: ナノ材料の導入によってポリマー/電解液の触媒反応の界面が増加させ、ポリマー触媒の反応が活性化されることを確認した。最終的にTiO2ナノ粒子の導入によってポリマー触媒から白金以上の触媒反応活性度が確認できた。 (3) 対向電極の構造変更による触媒反応活性化: 2次年度の研究計画として、実施予定である。 (4) ポリマー触媒を用いた色素増感太陽電池の効率向上: TiO2ナノ粒子-ポリマー触媒を用いて従来の白金触媒(7.59%)以上の効率(8.27%)を達成した。 従って、本研究は1次年度研究計画上の目標を達成することによって上記のように自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2次年度には、ポリマーフィルムではなく、対向電極の表面改質によって反応表面積の増加及び触媒反応の活性化を研究する。1次年度の研究から効果が検証されたTiO2を基板材料として選択してナノロードあるいはナノチューブ構造を適用し、より向上された電荷移動特性を目指す。ポリマーが最も均一にコーティングできる条件のポリマー/添加物の構成比とナノ構造の長さ、幅を最適化することによって1次年度の効率以上の最高効率を達成する。 また、1次年度の研究の延長として、TiO2ナノ粒子のサイズ、相による触媒反応や光電変換特性の依存性を検証し、相関関係を導出する研究を行う。 最終的には、長期信頼性テストを実施することにより、ポリマー触媒の性能を検証し、本研究の全ての目標を達成する。 その他の適用として、色素増感太陽電池の研究以外にも、ウォータースプリット反応の触媒、量子ドット及びペロブスカイト太陽電池の酸化還元触媒としてもポリマー触媒の開発を続けていく。
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