2015 Fiscal Year Research-status Report
スケッチを活用した恊創型グループディスカッションの手法の構築
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15K21257
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
福田 大年 札幌市立大学, デザイン学部, 講師 (50405700)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 参加型デザイン / 知識マネジメント / アイデア構築 / デザイン・インタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究計画に従い、「クルクルスケッチ」の「導入部分の強化」と「実施形態と応用範囲の拡張」に関して、参考文献・先行事例の調査・視察、参加型デザインの専門家へのヒアリングを実施した。そして追加作業として、過去のワークショップのスケッチ結果の検証を行った。 「導入部分の強化」は、アイデア生成テーマのキーワード設定から参加者が主体的に携わることで、スケッチ作業にも意欲的になることが分かった。さらに、現状のスケッチ能力で十分に参加できることが自覚できるスケッチ練習の方法を検討する必要があることも分かった[1]。 「実施形態と応用範囲の拡張」に関しては、先行事例調査、専門家へのヒアリングを踏まえ、スケッチ専用シートの作成ではなく、ワークショップの進行を幾つかの単位に分けて、参加者の特性によって追加・変更できるシステムを検討することとした。応用範囲の拡張は、まず、道具の特性の検証をするため、水性顔料マーカーを使ったスケッチ作業を、所属大学の学生を対象とした実験、高校生対象、および児童対象のデザインワークショップ内で実施した。その後、参加者へ実施したヒアリング、アンケート、スケッチを検証した結果、素材の相性・使用感を検証した結果、油性マーカーよりも水性顔料マーカー使用時に、色彩の幅広さ、滲み、ぼかしを生かしながら、描画範囲が大きく大胆になることが分かった。道具によってもスケッチに対する苦手意識が低くできることが分かった。 以上の研究プロセスによって「導入部分の強化」および「実施形態と応用範囲の拡張」するための道筋が見えたと言える。 [1]福田大年(2015)多人数の知恵を「浮き彫らせ、紡ぐ」協創型アイデア生成法「クルクルスケッチ」の事例報告,ヒューマンインタフェース学会研究報告集 Vol.17 No.10, pp.7-12,ヒューマンインタフェース学会研究会賞
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に計画は、専門家へのヒアリングを反映し、内容の追加および更新はしているが、おおむね予定通り進んでいる。 ファシリテーション・グラフィックの専門家へのヒアリングでは、研究内容については好感触を得た。しかし、スケッチトレーニングに関して意見交換が十分に実施できていない。そのため、スケッチトレーニングの試作を使用したワークショップは未実施である。 さらに、タブレット型デジタル情報端末でのスケッチ作業の実験については、機材と描画道具の相性を研究者が検証した結果、スケッチに不慣れな参加者にとって使い勝手の良い組み合わせを、安価に一定数用意することが現状では困難なことがわかった。ただし、この分野の技術は日々進化しているので、次年度も引き続き検証する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、まず、「導入部分の強化」の「テーマ設定」では、キーワード作成から参加者が主体的に携わりワークショップテーマ自体も参加者自身が作成できる方法を模索する。そして、「スケッチの心理的ハードルを軽減するためのトレーニング方法」については、ファシリテーション・グラフィックの専門家へのヒアリングを反映し、参加者の描画能力によって変更でき、スケッチへの自信が持てるトレーニング メニューを作成する。 さらに「実施形態と応用範囲の拡張」では、ワークショップの構成を参加者の特性によって追加・変更するシステムを試作し実施する。さらに、アイデア生成プロセスの記録、クルクルスケッチの応用範囲を拡げるために、デジタル情報端末を利用した実験を行い、ワークショップを実施する。
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Causes of Carryover |
タブレット型デジタル情報端末を試行した結果、当初想定した効果が現段階では見受けられないため、実験内容を変更し次年度にも実施することになり、当初予定していた購入台数から変更となったのが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初想定した効果が期待できるタブレット型デジタル情報端末が登場したため、次年度使用額も利用し購入を予定している。
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Research Products
(3 results)