2015 Fiscal Year Research-status Report
子どものメンタルヘルスに対する認知行動療法プログラムの効果に関する研究
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15K21267
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
浦尾 悠子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (40583860)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 予防教育 / 認知行動療法 / 不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、不安の認知行動療法に基づく予防プログラムを日本の学校教育現場において実践し、介入効果を検証することを目的としている。本年度は、学校長を通してプログラム実施の希望があった、千葉県内の公立小学校6年生の通常学級1クラス28名に対して、1回45分、計10回のプログラムを実施し、プログラム実施前後における児童不安尺度(SCAS)のスコア変化を測定することにより、介入効果を評価する研究を実施した。実施にあたっては、事前に保護者から署名による同意を得た。 全10セッションのうち7セッションは、授業実施前に研究者が指導案に沿ってプログラム実施内容を担任教師に説明し、授業実施後に実践内容の報告を受ける形でプログラムを進行した。また、全10セッションのうち3セッションは、研究者自身が授業を担当した。なお、プログラム実施時期が2学期から3学期の時期であったため、SCASによる評価は、介入前と介入直後の計2回のみとなり、フォローアップの評価は実施できなかった。現在、データの解析中である。 子どもの不安症の罹患率は高く、不安の問題は、うつ病や行動障害のリスクファクターとなり得ること、また不安と不登校の関連も指摘されていることなどから、不安の問題に対する予防目的の授業を学校現場で行うことは、子どものメンタルヘルスにとって非常に重要と考えられる。本研究で用いる、不安の認知行動療法に基づく予防プログラムは、精神医学・心理学領域の知見に基づく、実践的・体系的なプログラムであることから、本研究で不安スコアの低減が確認されることにより、将来的には多くの学校でのプログラム実践につながり、不安のやそれにまつわるメンタルヘルス上の問題の減少につながるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、初年度に分析までを終える予定であったが、現在分析の途中であるため、進捗はやや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究参加者数が当初の計画より少なく、小学校6年生の1クラスのみの研究実施となったため、2年目は対象者数を増やす形で、引き続き健常児童を対象とした効果検証のための研究を行う必要があると考える。 3年目には、不安の問題を持つ軽度発達障害の児童に対するプログラムも作成し、適応指導教室等のフィールドで介入研究を実施できればと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度の研究実施校が市内の小学校1校のみであり、プログラム実施補助やデータ整理・入力補助などの人件費が不要であったことなどから、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究実施校および対象者数を増やし、前年度未使用分をデータ整理・入力補助等の人件費にあてたいと考える。
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