2015 Fiscal Year Research-status Report
キスペプチン細胞特異的トレーサー法を用いた吸乳刺激の神経回路の解明
Project/Area Number |
15K21286
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山田 俊児 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40454079)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キスペプチン / 授乳期 / 狂犬病ウイルス / HEP-Flury株 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は乳仔からの吸乳刺激が神経性に視床下部弓状核(ARC) のキスペプチン神経に伝わることでキスペプチン発現を抑制し授乳期の性腺機能抑制を引き起こすことを明らかにした。吸乳刺激の全貌を解明するためにもキスペプチン神経に投射する神経の解明は必要不可欠である。本研究課題では従来型の「ARCに投射する」といった部位特異的な神経トレーシングではなく、「キスペプチン細胞につながる」といった神経細胞特異的なトレーシングを行うことを目的する。 キスペプチン細胞特異的に逆行性トレーサーである狂犬病ウイルス(RV)を感染させるためにキスペプチン神経を修飾する必要がある。そのために、キスペプチン神経にCre recombinase (Cre) を発現するマウスのARCへ、Cre依存性にTVA受容体およびRVのGタンパク (RVG) を発現するプラスミドをアデノ随伴ウイルス (AAV) を利用して投与する予定である。これまでにTVA受容体およびRVGを発現できるプラスミドをもつAAVを作製し、Creを発現させたHEK293細胞においてCre依存性にTVA受容体が発現することを確認した。 RVは逆行性トレーサーとして大変有用であるが人体への危険性が高い。そこで、人体への影響のないRVの弱毒株であるHEP-Flury株 (HEP) のゲノムプラスミドを譲渡していただいた。またRVのHEP株を効率よく作製するための細胞も譲渡していただいた。現在、TVA受容体に特異的に結合できる偽型RVを作製中である。作製に必要な7種類のプラスミドについてコンピテントセルへの形質転換や収量を高めるための培養及び抽出方法を検討し、6種類のプラスミドについて大量獲得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
偽型狂犬病ウイルスの作製では、狂犬病ウイルスのゲノムプラスミドを細胞にトランスフェクションし作製する。狂犬病ウイルスのゲノムプラスミドはその全長が大きいことが原因となり収量が非常に低く、現在、収量を高める検討を行っている。 キスペプチン細胞特異的に狂犬病ウイルスを感染させるためには、キスペプチン神経の修飾が必要不可欠である。そのためにはキスペプチン神経にCre recombinase (Cre) を特異的に発現するマウスが必須であるが、この遺伝子改変マウスを入手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
HEP株狂犬病ウイルスゲノムプラスミドを必要量獲得できるように努める。現在、新たな手法に着手し獲得できそうな段階である。その後、獲得したHEP株狂犬病ウイルスゲノムプラスミドと効率的なウイルス作製に必要な別のプラスミドを細胞にトランスフェクションし偽型狂犬病ウイルスを作製する。 同時にキスペプチン神経にCreを発現するマウスを速やかに入手し、そのマウスのARCにTVA受容体およびRVGを発現するAAVを投与し、Cre発現細胞(=キスペプチン発現細胞)でのみTVA受容体やRVGが発現していることを蛍光顕微鏡で確認する。さらに、偽型狂犬病ウイルスを同じ部位に投与して、キスペプチン神経に投射する神経の可視化を目指す。 吸乳刺激によってそれら可視化された神経が活性化するのか、cFosやMRIなどの方法を用いて調べ吸乳刺激をキスペプチン神経に伝える神経を探索する。
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Causes of Carryover |
ウイルス作製用のプラスミドを多量に得る手段を確立するのに時間を要したので、そのプラスミドを利用したウイルス作製時に必要となる細胞を培養するための物品等を購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プラスミドの作製には成功しつつあるので、計画通り、ウイルス作製用の細胞を培養するための試薬等の購入に使用する予定である。
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[Journal Article] Postprandial hyperglycemia was ameliorated by taking metformin 30 min before a meal than taking metformin with a meal; a randomized, open-label, crossover pilot study.2016
Author(s)
Yoshitaka Hashimoto, Muhei Tanaka, Hiroshi Okada, Kazuteru Mistuhashi, Toshihiro Kimura, Noriyuki Kitagawa, Takuya Fukuda, Saori Majima, Yukiko Fukuda, Yoshimitsu Tanaka, Shunji Yamada, Takafumi Senmaru, Masahide Hamaguchi, Mai Asano, Masahiro Yamazaki, Yohei Oda, Goji Hasegawa, Naoto Nakamura, Michiaki Fukui.
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Journal Title
Endocrine
Volume: 52
Pages: 271-276
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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