2017 Fiscal Year Research-status Report
青色光受容体「クリプトクロム」の磁場認識メカニズム
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15K21293
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
直原 一徳 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (90458000)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クリプトクロム / 光誘起電子移動反応 / MPMS3 / 磁気測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物における磁場センサーとして提唱されているクリプトクロム分子は、タンパク質の活性中心として、flavin adenine dinucleotide(FAD)を非共有的に結合している。この活性中心は通常は酸化型FADの状態であるが、青色光照射に伴う光反応において、電子移動反応によりラジカル型へと変化する。不対電子を有するようになったラジカル型FADは微弱ながらも磁性を帯びると考えられるため、その磁気を高感度の磁気測定装置(MPMS3)で直接的に測定することに研究をシフトさせた。(これまでの計画は、外部磁場の有無によってラジカル型FADの反応速度の変化を測定するという間接的な磁場効果測定であった。) 上記の測定を遂行するために新たな共同研究先(大阪府立大学大学院 理学研究科 物理学専攻)を決定し、数回のミーティングを通して、クリプトクロム磁化率測定の計画、および、光照射測定系の設計を行った。 MPMS3測定系でサンプルを光照射するには(NMRチューブと同程度の測定管内に照射装置を組み込む必要があったため)、φ=4mm以下の光源が必要であった。それを満たす条件として、青色発光ダイオード(λmax = 461nm:酸化型FAD照射用)および 橙色発光ダイオード(λmax = 606nm:ラジカル型FAD照射用)を準備し、測定系の外部から操作可能なタンパク質照射系を組み立てた。 また、新規の共同研究先での測定試料調整を行いやすくするために、これまでに調整したゼブラフィッシュを始めとする種々の生物由来のクリプトクロム精製タンパク質試料を確認し、新規保管場所へ移動した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
旧所属の研究室(大阪府立大学大学院 理学研究科)における人事組み換えが 平成29年度にあり、新たな共同研究先(大阪府立大学大学院 理学研究科 物理学専攻)を決定したため。またその共同研究により、磁場センサーとしてのクリプトクロム測定の実験系を大きく変更することになった。それにより、計画・立案に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、本研究課題「青色光受容体クリプトクロムの磁場認識メカニズム」は、平成27~29年度の3年間の計画であり、タンパク質試料は測位邸に用いるのに十分量を調整することができた。しかし、クリプトクロムの光反応に伴う磁気測定の実験系について、(新たな測定系の使用が可能になったことから)大幅な変更が生じた。そのため本科研費を引続き使用するために、平成30年度へ繰り越し手続きを行った。 MPMS3(時期測定装置)の使用料金は、半日あたり約5,000円であり、本研究費はその測定費用として多くが用いられる予定である。
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Causes of Carryover |
新たな共同研究先(大阪府立大学大学院 理学研究科 物理学専攻)が決定し、クリプトクロムの磁化率測定の実験系を大幅に変更することになったため。 新たな測定機器は「MPMS3(磁気測定装置)」であり、それを用いてクリプトクロムの光依存的磁気測定系を組み立てるために、時間と費用が必要である。また、MPMS3の使用料金は半日あたり5,000円であり、本研究費はその測定費用として多くが用いられる予定である。
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