2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21301
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
大山 剛史 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (40462668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 利き手・利き足 / 運動制御 / 刺激反応適合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
手足の左右を用いて刺激に対して反応するときに、特定の性質(例えば、色や空間的な位置など)をもつ刺激に対して左右いずれかの手足の方がもう片方よりも早く正確に反応できることが知られている。このことは機器類を操作するスイッチなどの配置において、左右の特性に応じた設計を講じることで、より適切なインタフェースを提供できる可能性を示唆している。本研究では先行研究において十分に明らかにされてきていなかった垂直方向及び奥行き方向に動く視覚刺激に対して、左右の手または足を用いて反応するときに、反応時間が短くなる刺激の運動方向と手足の左右との対応関係を調査した。 垂直方向に動く視覚刺激に対して、手及び足の両方において上方向に動く刺激には右側の手足で、下方向に動く刺激に対しては左側の手足で反応した方が反対の刺激と反応の組合せよりも反応時間が短いことが明らかになった。これは先行研究において上下に提示される固定した視覚刺激のときと類似の結果であった。 一方、奥行き方向に動く視覚刺激に対しては刺激と反応の組合せは手足で異なる様相となった。手で反応する場合は刺激の動く方向と反応に用いる左右との間に反応時間が短くなる組合せは現れなかったが、足で反応する場合は手前に動く刺激に右足で、奥に動く刺激に左足で反応するときに反応時間が短くなることが明らかになった。また、足で反応するとき、左足の方が右足よりも視覚情報の見かけの変化の影響を受けやすいことも明らかになった。 本研究の結果は利き手足と非利き手足の運動の違いを調査する上で運動制御の観点における違いだけでなく、認知的な観点からも議論する必要性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手の左右によって反応しやすい刺激の特性の存在を確認できたことに加えて、足の左右においてより顕著な刺激の特性との対応関係が存在することを明らかにできた。加えて、利き手・足よりも非利き手・足の方が刺激に関する視覚情報の影響を受けやすいことが示唆された。これらの結果は利き手と非利き手における運動学習や運動制御の違いについて調査するに当たって有益な材料となり得るものであり、研究の進捗として一定の成果を得たと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに導入した反力提示デバイスを用いて、運動中に外乱が加わったり特殊な力場で運動するときの利き手と非利き手の運動の違いを調べて、利き手と非利き手の運動制御や運動学習の差異を説明できるモデルの構築を目指す。併せて、これまでの研究成果を総括して、学会や論文等において適宜発表を行っていく。
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