2015 Fiscal Year Research-status Report
地域防災活動を通じた女性の力量形成と社会参加に関する研究
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15K21317
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
生島 美和 弘前学院大学, 文学部, 講師 (80535196)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 避難所運営訓練 / 男女共同参画 / 地域防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目では、避難所運営訓練においてどのような気づきや学びが起きているのか、青森県内5か所において同形態で実施された訓練の参加者を対象としたアンケート調査を実施することであきらかにした。分析では特に性別に視点を置きながら日常の地域参加と避難所運営訓練での学習成果との関連を見た。これにより今後の地域防災活動への示唆を得ることとした。 その結果、訓練の中心的な役割を担う運営委員の年代が50歳代以上と非常に高い割合であり、参加のきっかけの多くが「町内会や自主防災組織の役員」であり、特に女性は「地域団体から参加要請を受けた」であった。しかし女性の事前の会議への出席状況や当日の役割の自己評価は低くなく、積極性が見られた。一般的に「地域に若い人が関わらない/若い人の参加が少ない」といった地域課題が出されるが、地域活動の持続的発展を考えるならば、20代から40代の若い世代や女性も参画しやすいよう就労形態や家族形態に配慮しながら地域の役員などに任命する、またそれが実現しうる地域活動の在り方や役割構成を検討することで積極的な参加を促す一助になると考えられる。 また、訓練では班分け、または班の中でのリーダーやその他の役割が分担され、運営委員が主体的に活動していた姿が浮かび上がっている。なかでも女性の2割がリーダー役になっていたことを自覚しており、防災活動における女性のリーダーが求められる中にあって有効な訓練になっていたと捉えられる。訓練の様々な場面での気づきに関しては、男性のほうが施設空間や女性目線で考えることの必要性といった、主催者側による事前の講義内容や企図がダイレクトに反映されている一方、女性はそれを実践する中で見られたルール作り、話し合い、要配慮者の多様性などといった内容の深まりや組織内の関係性への視点が多く見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、主として市町村単位で行われる避難所づくり事業において参与観察と参加者を対象としたアンケート調査を実施し、実践的学習の成果とそれを生み出してきた事業内容・局面について解明することとした。当初の計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に避難所運営訓練を実施し成果の見られた事例に注目し、そこでの町内会/自主防災組織において、防災を意識した地域活動がどのように展開されているのか、男女双方の主要メンバーに対するヒアリング調査を実施し、特に男女の役割や意識との関係を分析する。 また、「災害/防災」という課題は誰にでも関わることから地域住民間の関係性・組織の構築が期待されるが、それに対し公民館が有用であると考えられる。平時では地域の学びの場・災害時は防災拠点といった二重の機能を行き来することを通じ、レジリエンスの高い地域づくりを実現する公民館の役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予算執行の際に多少の差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査旅費に補充する。
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