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2018 Fiscal Year Research-status Report

絹本著色古典絵画の基底材に関する基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 15K21320
Research InstitutionTohoku University of Art and Design

Principal Investigator

長崎 早織 (森田早織)  東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 研究員 (60738756)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2020-03-31
Keywords絹本 / 古典絵画 / 織組成 / 糸の形状 / 現代製糸技術 / 在来製糸技術 / 近代 / 近世
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、絹本著色古典絵画における基底材の「絵絹」を対象とする。「絵絹」は絵画における「表現技法」と密接した素材であるため、その性質が表現に与える影響は大きい。そこで、古典絵画に用いられた「絵絹」の性状と「表現技法」の関係性を把握するために、まず①複数の絹本著色作品における絵絹の織構成・密度・バランスなどを記録・分類を行う。そしてデータを基に②文献資料に基づいた在来製糸製織技術を用いて古典絵画絵絹の基準試料を製作する。さらに「基準試料」に描画・装こうによる実技検証を行うことで、③「絵絹」の性状を明らかにし、「絵絹」と「表現技法」の関連性を体系化した基礎的資料を作成することを目的とする。
申請者が現在所属している東北芸術工科大学は東北地域の中央に位置する。江戸時代には舟運等で栄えた地域でもあり、文化財も多く現存している。博物館や市町村、個人宅においても伝承し保管され、中には大変保存状態の良い物も見受けられる。これらの文化財作品から、年代が明らかとなっている作品をピックアップし、所有者協力のもと非破壊非接触による絵絹のデータ計測を進める。絵絹調査では、デジタルマイクロスコープによる、糸の形状観察(200倍以上)、織組成、密度、空隔、深度の記録を行う。これらを基に複数絵絹試料を製作し、性質検証(高さ計測、油脂分定量分析、吸水性、湿度による伸縮性など)、描画実験(墨線描、裏表彩色、彩色の発色目視比較、裏箔による透過度、模写)、装こう実験(裏打ちによる収縮性)を行う。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

複数の絹本著色作品における絵絹の織構成・密度・バランスなどを記録・分類を行うために、2016年2月に山形美術館所蔵・長谷川コレクションから近世近代を中心とした絹本に描かれた作品14点を選定し、絹の織組成・糸の構造について調査を行った。2017年度には追加調査として更に22点の作品の調査・記録を行った。調査では通常光撮影、マイクロスコープによる俯瞰撮影(織構成・密度・空隔の記録)、3Dマイクロスコープによる深度計測(深度・糸の形状記録)を行い、織組成・密度・空隔・深度を記録・数値化した。これら絵絹の情報を形状ごとに分類し、作品の制作年代との関連性についてまとめた。
今年度は、これらの情報を参照として、絵絹試料の製作を行った。勝山織物絹織製作研究所に絵絹製作を依頼。飼育した蚕の繭から手繰糸した糸を用いて、太さの違う経糸2種に、太さと打ち込みを変えた緯糸2種=合計4種を製作した。
やや遅れている理由としては、産後の体調不良や持病(橋本病)などにより、研究が滞ってしまった。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、製作した絵絹資料4種に、市販の絵絹2丁樋を加えた5種の絵絹資料に対して、描画実験と装こう実験を行うこととする。
描画実験では①絵絹へ三種のドーサ(ミョウバン濃度を変えた)を引き、エオシン染色液や墨などの滴下実験、墨線描実験を行う。これにより、各種絵絹のドーサの適正濃度や、墨の発色について試料の傾向を観察する。②描画実験(墨線、色料による彩色、裏箔等)によって、各試料の特性と表現技法の関連性について検証する。③各試料について、装こう実験(裏打ち等)を行い、伸縮率等を求めることで各特性を把握する。④性質検証(湿度の変化による伸縮性の検証・油脂分定量分析)を行う。⑤各試料に対し模写を行い、表現技法と絵絹の関連性について比較検証を行う。
これらの絵絹試料を基礎とし、古典絵画絵絹の基準試料の体系化を随時進めることとする。

Causes of Carryover

本年度には育児により研究に遅れが生じてしまった。また、産後の体調不良と持病(橋本病)などにより、研究が滞ってしまった。
令和元年度の使用計画は、絵絹試料に対する描画実験を行うため、実験材料や画材を購入する。また、結果については学会や査読論文などで徐々に発表を行っていくため、旅費等で支出を行う予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 山形美術館所蔵絹本作品調査における絵絹織構造のまとめ2018

    • Author(s)
      森田早織、志村明、秋本賀子
    • Journal Title

      一般社団法人保存修復学会40回大会於高知研究発表要旨集

      Volume: 40 Pages: 248-249

  • [Presentation] 山形美術館所蔵絹本作品調査における絵絹織構造のまとめ2018

    • Author(s)
      森田早織、志村明、秋本賀子
    • Organizer
      一般社団法人保存修復学会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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