2016 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍細胞選択的粒子線治療に用いる新規治療薬PEG化ホウ素化合物の開発研究
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15K21327
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
白川 真 福山大学, 薬学部, 講師 (40707759)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に応用可能なリポソーム製剤として、我々の開発した新規脂質複合体(PBL)のリポソーム構成脂質における最大修飾率を前年度に明らかにした。本年度は更に製剤としてホウ素含有量を増加させるため、そのリポソーム内水相にホウ素化合物を各種の方法(水和法、凍結融解法、逆相蒸発法)で内封し検討を行なった。ホウ素化合物は早期の臨床応用を目的として現在臨床応用されているホウ素含有アミノ酸(BPA)とホウ素クラスター化合物(BSH)で検討を行なった。しかし、BPAは各種調製法において、その内封率は1%前後であり、リポソームの高ホウ素濃度化には不適であった。一方、BSHは10%前後の内封率が得られ、BSHを構成する成分元素としてホウ素を12個含む事からリポソームへの内封ホウ素化合物としてBSHが優位であることが明らかとなった。また、リポソームは一般に調製時における脂質濃度を向上させることで、その内封率が改善することが知られている。そこで我々は脂質濃度を50mg/mLまで上昇させることでBSH内封率を20%まで改善することに成功した。さらにこれまではPBLを薄膜法で他の脂質と混合・調製してリポソームへと修飾していたが、Post insertion法を用いることでPBLを外水相のみへ配向し、内水相の容積確保とPBLを用いたリポソームのストラテジーであるPassive targettingの増強を図った。結果、リポソーム製剤としてホウ素含有量115.8ppmの高濃度化を達成した。また、高濃度化に伴う安定性の変化についても検討を行なったが、in vitro条件下、測定時間内(~48時間)においてBSHの漏出はほぼ見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度計画ではin vivoによる薬物動態が明らかとなる予定であったが、そのホウ素濃度を測定するICP(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)の不調により正確な値を検出することができなかった。ICP等の測定環境が整い次第、再開する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に進展しており、平成29年度も計画通り進めていくことを第一課題とする。ただし、平成29年度計画における中性子照射実験が京都大学原子炉実験所の再開時期に大きく影響を受けるために、可能であれば他の中性子源の確保も念頭に入れ、研究を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
所属研究機関の変更や実験に用いる測定機器の不調等により、計画していた動物実験が予定通りには進まず、in vivo実験の物品費として計上した予算を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定環境が整い次第、当初計画通りのin vivo実験における物品を購入する予定である。
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