2015 Fiscal Year Research-status Report
燃料電池を用いた省エネルギー非熱プラズマ水質浄化の機能解明
Project/Area Number |
15K21331
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑原 拓也 日本工業大学, 工学部, 助教 (70602407)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非熱プラズマ / オゾン / 燃料電池 / 殺菌 / 水質浄化 / 気液二相流 / 省エネルギー / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
水の電気分解により水素と酸素を発生し、水素を燃料電池の燃料とし発電して電力回収し、酸素を殺菌・水質浄化効果の高いプラズマ形成オゾンの原料として利用する燃料電池を用いた省エネルギー型非熱プラズマ水質浄化技術を提案する。放電工学、化学反応論、流体工学を融合させてこの技術を用いた水質浄化システムの最適化を行い、高い浄化効果を持ちながら省エネルギー化、低コスト化を実現する。理論的な解析により環境負荷の低い高濃度オゾン発生を検討する。処理対象の水にオゾンを注入し、混相流動様式と殺菌効果の関係を実験的に解明する。これらの学術的研究を行い、一般細菌を30秒で100%の殺菌性能を有する水質浄化技術の完成を目指す。今年度の成果は以下の通りである。 燃料電池と電気分解を利用した酸素発生技術とプラズマ放電の最適化を行い、浄化に利用する非熱プラズマ形成オゾン発生における省エネルギー化に関する研究を行った。通常の空気原料のオゾン発生方法と比較して、有害な窒素酸化物を排出しないクリーンな技術である。 初めに電気分解によるオゾン原料酸素の発生と燃料電池による電力回収システムの提案と構築を行った。次に電気分解の入力電流と酸素発生量の関係ならびに燃料電池で回収できる電力の測定を行った。それらの結果をもとに酸素発生エネルギー効率を明らかにした。 次に、オゾナイザ(消費電流 400 mA、出力電圧 5 kV、周波数 1 kHz)を用いて、オゾン発生特性を調査した。水の電気分解で得られた酸素流量 0.05 L/minの場合、発生したオゾン濃度は7,000 ppmであった。発生したオゾン濃度は高いため、強力な殺菌浄化、あるいは空気と混合して殺菌対象物に噴射用いることにより高範囲の殺菌や比較的大きな流量の水の浄化に適用できる。そのため、実用化を考慮すると研究成果の意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
省エネルギー型の非熱プラズマ殺菌浄化システムを提案することを目的とし、水の電気分解における酸素発生のエネルギー特性ならびに発生水素と燃料電池を用いた電力回収特性を調べた。本研究により得られた結論として、省エネルギーで酸素発生量を増やすためには最適な電流値で複数の電気分解装置を用いて酸素発生量を増加させ、さらに燃料電池を複数個用いることで電力回収率が向上することが分かった。本実験では最大電力回収率28.0%を達成した。また、本実験では7,000 ppmの高濃度オゾンを供給することができた。この高濃度オゾンにより強力な殺菌浄化、あるいは空気と混合して殺菌対象物に噴射用いることにより高範囲の殺菌や比較的大きな流量の水の浄化に適用できる。 本研究に対して先行する研究例がなく萌芽的研究であるため、これらの基礎特性の解明は学術的にも価値が高い。これらの成果は本研究の基礎をなすものであり、計画以上の進展と評価できる。しかし、殺菌効果に対する定量的なデータがまだ得られていないため、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
燃料電池を用いた省エネルギー型非熱プラズマ水質浄化技術を提案するために、本研究の基礎となる原理の確立と省エネルギー化の実験を行い評価してきたが、今後は実用化への展開を目的として、殺菌ならびに水質浄化の機能解明に向けて実験を主とする調査を行う。殺菌ならびに水質浄化システムを構築し、効果の定量的評価、エネルギー効率の算出を行う。実験結果を考慮し改善しながらシステムの最適化し浄化のエネルギー効率の高いシステムを完成させる。本手法では、この省エネルギー法で生成させたオゾンを気泡として浄化対象の水に注入することで水の浄化を行う。水質浄化の研究においては、ボイド率と殺菌効果の関係の解明など、学術的にも価値の高い成果を挙げていく。 当初計画では水の殺菌を主とし、水質浄化の研究に重点を置く内容であった。オゾン気泡で水質浄化を行う方法であるため、オゾンによる空気の殺菌、すなわち空気清浄効果を検証することが重要である。そのため、当初計画にはなかった微粒子計測装置も購入し、空気清浄実験も行う。空気清浄実験の成果を水質浄化実験へと展開し、当初の研究目的を達成させる。
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