2015 Fiscal Year Research-status Report
高濃度酸素暴露されたマウス肺における転写因子Bach1の重要性に関する研究
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15K21334
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小林 信吾 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00464727)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高濃度酸素 / 気管支肺異形成 / 新生児 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】BTB and CNC homology 1(Bach1)はheme oxygenase(HO)-1遺伝子の抑制性転写因子である。Bach1ノックアウトマウスは成獣において心筋虚血/再灌流傷害や高酸素性肺傷害に対し防御作用を示すことが報告されているが、新生仔期高濃度酸素性肺傷害におけるBach1の作用については未だ解明されていない。 【目的】新生仔期における高濃度酸素暴露に対しBach1が寄与する影響を検討する。 【方法】Bach1ノックアウト(KO)、ヘテロノックアウト(Hetz)、野生型(WT)新生仔マウスに対し高濃度(95%)酸素暴露を96時間行い、以降はルームエア下で飼育した。日齢4、14で肺を摘出し、(1)HE染色、エラスチン染色を用いての組織学的検討、(2)リアルタイムPCRを用いてのBach1, HO-1, IL-6遺伝子発現レベルの定量、(3)Cytometric Bead Array(CBA)を用いての炎症性サイトカイン蛋白発現レベルの定量を行った。いずれも出生時よりルームエア下で飼育したマウスをコントロールとした。 【結果】Hetz群、WT群では新生仔期の高濃度酸素暴露による肺胞発達の遅延を認め、この肺胞化停止は日齢14まで続いていた。一方で、KO群では日齢4の高濃度酸素暴露による肺胞発達遅延を認めるものの、日齢14では肺胞化の改善が見られた。また、高濃度酸素暴露直後の日齢4においてHetz群、WT群に比してKO群では肺内HO-1、IL-6のmRNA発現量が有意に上昇した(それぞれp <0.05、p <0.05)。この有意な上昇は一時的で持続しなかった。CBAにおいてもKO群は高濃度酸素暴露により肺内IL-6の蛋白発現が有意に上昇した(p <0.05)。 【結語】我々は、新生仔Bach1 KOマウスは高濃度酸素暴露によりHO-1とIL-6のアップレギュレートが一時的に惹起され、高濃度酸素性肺傷害に対する防御効果を示すことを示した。今後これらの変化による長期的な影響と詳細な機序を解明するため、さらなる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り進んでおり、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り実験を終了し、現在論文投稿中である。
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Causes of Carryover |
研究計画が順調に進んだため、予定していた消耗品購入のための費用を節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究結果に関して、現在論文投稿中である。編集者・査読者からの追加実験の要請が考えられ、追加実験のための消耗品購入のため次年度使用額を使用予定である。
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