2017 Fiscal Year Research-status Report
発達に困難を抱える児童・生徒への自然体験療法-身体の感覚と不器用さに着目して-
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15K21337
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉松 梓 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (90508855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然体験療法 / キャンプ / ボディイメージ / 身体感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、発達に困難を抱える児童・生徒を対象に、長期継続的な自然体験療法プログラムを開発・実践し、身体感覚や不器用さという”身体”の側面からその効果および治療的意味を検討することである。 2017年度は、主に以下の2つの課題について重点的に研究を進めた。 まず、研究課題1「長期継続的な自然体験療法プログラムの開発とアセスメント方法の検討」については、前年度新たにボディ・イメージのアセスメントツールを検討する必要が生じたことから、英語尺度であるPhysical Self-Description Questionnaire(PSDQ-S)の日本語版、日本語版Somatoform Dissociation Questionnaire(SDQ-20)と日本語版Social Physique Anxiety Scale(SPAS)の思春期版の作成を進めた。 次に、長期継続的な自然体験療法プログラムの実践とその効果の検討については、研究課題1の遅れにより、研究課題2「量的手法(ボディ・イメージ・アセスメント尺度)による自然体験療法プログラムの”身体”の側面への効果測定」に移行できなかった。そのため、先んじて研究課題3「質的手法による自然体験療法プログラムの”身体”の側面への治療的意味の検討」を実施した。その結果自然体験療法の過程における身体性回復のプロセスとその要因が明らかになった。身体性回復のプロセスとしては、身体にコンプレックスや違和感を抱いていた段階から、身体に気づき、身体に自身を持っていく一連のプロセスが明らかになった。要因としては、スタッフの受容的な関わり、仲間との関係性、自然の中での感情体験との関連が示された。この研究課題3の成果まとめ、学会発表および論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度は、研究課題1「長期継続的な自然体験療法プログラムの開発とアセスメント方法の検討」の一環である、ボディ・イメージのアセスメントツールの作成については概ね順調に進んだ。しかしながら、研究課題2「量的手法(ボディ・イメージ・アセスメント尺度)による自然体験療法プログラムの”身体”の側面への効果測定」については、研究課題1の完了後に実施が可能となるため測定が叶わなかった。一方で、研究課題3「質的手法による自然体験療法プログラムの”身体”の側面への治療的意味の検討」については、先んじて成果を発表する段階まで至った。これらの状況を総合して「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、研究の進行が遅れている研究課題2「量的手法(ボディ・イメージ・アセスメント尺度)による自然体験療法プログラムの”身体”の側面への効果測定」を重点的に実施する。特にデータ収集においては、量的手法に必要なサンプル数を確保するため、当初予定していた実施団体以外にも調査依頼をしていく予定である。また前年度に重点的に行った研究課題1「長期継続的な自然体験療法プログラムの開発とアセスメント方法の検討」の成果発表(学会発表および論文投稿)を行う予定である。 最終年度である2019年度は、研究のまとめの年と位置づけ、研究課題2の分析および成果発表(学会発表および論文投稿)。研究課題1から3の総合的な考察と最終的な報告書の執筆を行う計画である。
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Causes of Carryover |
2017年度は、長期継続的な自然体験療法プログラムを実践とその効果の検討については、研究課題1の遅れにより、研究課題2「量的手法(ボディ・イメージ・アセスメント尺度)による自然体験療法プログラムの”身体”の側面への効果測定」に移行できなかった。そのため、自然体験療法プログラムの実践とデータ収集に必要な旅費、人件費について未使用額が生じた。 次年度以降は、前年度の繰り越し分と併せて、自然体験療法プログラムの実践とデータ収集に必要な旅費、人件費、物品費の使用を予定している。またデータ分析および成果発表に必要な、物品費、旅費、その他の費用についても順次使用する予定である。
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