2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21346
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
中埜 貴文 帝京平成大学, 薬学部, 助教 (40720793)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | C型肝炎 / ポルフィリン症 / ヘム生合成 / ポルフィリン / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘム生合成過程の酵素反応が先天的あるいは後天的に傷害されることで、中間生成物であるポルフィリンが、肝臓や皮膚に蓄積して引き起こされる疾患をポルフィリン症と呼ぶ。近年になりC型慢性肝炎時において肝内にポルフィリン蓄積が起こっていることが報告され、疫学的調査からポルフィリン症の一形態である晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)は、C型肝炎と高い合併率を示すことが見出された。このことから、PCTの誘発因子としてのHCVの役割が注目されているが、その直接的因果関係は明らかになっていない。そこで本研究ではC型肝炎時のポルフィリン代謝撹乱のメカニズムを明らかにすることで、C型肝炎とPCTの分子レベルでの関連性を解明することを目的とした。そこで、1.HCVコア蛋白質安定発現細胞を用いて、ポルフィリン代謝に関わる酵素群、及びトランスポーター群の遺伝子発現をReal-time PCRにより解析を行うとともに、 2.FLVCR1、ABCG2, ALAS1の発現をWestern blotにて蛋白レベルで比較検討した。その結果1.HCVコア蛋白質により、遺伝子レベルではポルフィリン変換酵素であるURODの発現上昇と、CPOXの発現低下、およびポルフィリントランスポーターであるFLVCR1とABCG2の発現上昇が惹起されることが見出された。2.一方、蛋白質レベルではFLVCR1の著しい発現上昇が見られる一方で、ABCG2の発現には変化が見られなかった。またヘム生合成の律速酵素であるALAS1発現の上昇が認められた。これらのことから、HCVコア蛋白質により惹起されるポルフィリン代謝異常は、ポルフィリンの生合成回転の上昇と細胞内輸送機能の変動という側面を持つ可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は平成27年度の研究計画として、ポルフィリントランスポーターであるFLVCR1とABCG2の局在、発現、機能変化に関して検討し、ポルフィリン代謝系におけるこれらトランスポーターの関与を明らかにすることを予定していたが、研究の効率化、精緻化の観点からHCVコア蛋白質により惹起されるポルフィリン代謝異常の全体像を把握するために、関連する遺伝子、蛋白質の網羅的解析を優先した。これまでの検討により、ポルフィリン代謝変動に関与していると考えられる因子が絞られたことから、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
HCVコア蛋白質の惹起するポルフィリン代謝変動に関与する因子として、特にポルフィリントランスポーターに焦点を当て、研究を進める予定である。siRNAにより輸送機能を阻害した際の、ポルフィリン代謝回転への影響、およびその細胞毒性への影響を検討し、ポルフィリン代謝における関連するトランスポーターの役割を明らかにすることで、C型肝炎とPCTの高合併率の背景因子としてポルフィリントランスポーターが関係しているか否かを検討する。
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Causes of Carryover |
使用期限の点から、購入を留保している試薬、消耗品があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、必要消耗品の購入に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)