2015 Fiscal Year Research-status Report
日本型インクルーシブ教育のグローバルスタンダードへの積極的アプローチとその戦略
Project/Area Number |
15K21349
|
Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
高野 聡子 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (00455015)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 特別支援教育 / インクルーシブ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
海外の研究者・現職教諭が日本の特別支援教育のみならず、自国以外の障害児教育の何に関心を持ち、何を評価しているかを明らかにするため、スウェーデン・ストックホルムの知的障害児学校、知的障害児のためのプログラムを実施しているミュージアム等の視察と、ストックホルム大学の研究者と教員養成の方法についての研究交流を行った。 スウェーデンは視覚障害児のための盲学校を1986年に廃止するなど、積極的にインクルーシブ教育を進めているが、知的障害児のための学校は知的障害児学校として存続している。今回視察した知的障害児学校(重度重複障害も含む)は、通常の学校内に設置された知的障害児学校と、単独校として設置されている知的障害児学校の2つのタイプに分けることができたが、視察した際に行った知的障害児学校の教諭へのインタビューから、スウェーデンでは2011年発行のナシュナルカリキュラム以降、理念としてインクルーシブ教育を捉えるのではなく、教育現場でいかにして具現化し実践していくのかが考えられていた。視察した知的障害児学校の中には、日本の肢体不自由特別支援学校との学校間交流の一環で、日本の特別支援学校(肢体不自由)を視察した教諭らがいたが、日本の特別支援教育についてその教諭らからは児童・生徒に対して教員数がスウェーデンと比べて多いこと、勤務時間(休憩時間の取り方)が違うことなど、自国の教育システムとの違いに関する発言があった。また、ミュージアムにおける知的障害児を対象にしたプログラムについてミュージアム職員から取り組みと工夫について説明を受けた。 今年度の研究は、当初、次年度に予定していた研究計画の内容であったが、スウェーデンでの視察や研究交流の受け入れの計画が予定よりも早く進んだため平成27年度と平成28年度の研究内容を変更し行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度と平成28年度の計画を交換したが、海外の研究者と現職教諭を対象に日本の特別支援教育に対する関心や、自国の障害児教育(インクルーシブ教育)をどのように捉えているのかについて視察を踏まえたインタビューを行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
海外の学術雑誌と国際学会で発表された日本の特別支援教育に関する論文・発表を収集し、発表内容をカテゴリーに分類し、海外・国際的な学術分野において日本の特別支援教育の何がどのように発表されているのかを分析する。海外の学術雑誌の収集については、教育関係の論文の検索データベースを利用し、海外の学術雑誌で発表された日本の特別支援教育に関する論文を検索し収集する。国際学会については、会員数と参加者数が多く障害児教育に関する学会を3つ程度対象とし、年次大会の発表収録から特別支援教育に関する発表、シンポジウムを検索し収集する。 収集した論文と発表、シンポジウムの内容をシステム論、教育内容・方法、障害種別、心理学的研究、歴史研究の5つのカテゴリーに分類する。それと同時に発表者が所属する大学・教育機関の国別にも分類し、分類結果から学術分野における日本の特別支援教育に関する理解と評価を分析する。 以上の研究結果を、学会で発表し、他の研究者から示唆を得る。
|
Causes of Carryover |
海外での視察、研究者との研究交流、現職教諭へのインタビュー等が、ストックホルム近郊といった近距離の範囲で実施できたため、移動のための交通費を削減することができた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の海外で発表された論文等の資料収集に使用する。
|