2016 Fiscal Year Annual Research Report
Looking for new possibilities of kampo medicine in cancer treatment: Elucidation of action mechanism and early application strategy for cancer treatment
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15K21366
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
玉田 真由美 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (80528133)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 漢方薬 / 癌糖代謝 / 代謝変動 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌治療における漢方薬の有用性は、化学療法に伴う副作用対策や緩和ケア領域のみならず、近年では癌転移抑制作用、再発防止作用など数多く報告されてきた。しかしその使用が、古典の記載や経験則を基としたもので、作用機序が明らかでないことが障害となり、使用が敬遠される場合があることも否めない。有用性が認知されたものに関しては、専門医に限らず広く使用されていることを考えると、作用機序がより明確になれば、癌治療の領域においても、有効な治療手段の1つとなる可能性を秘めているといえる。そこで我々は、当研究室で構築した既存薬ライブラリーのうち、漢方薬成分を使用し、これまで行ってきた研究を基に、腫瘍増殖や化学療法耐性獲得の原因でもある癌特有の糖代謝への影響、また、転移の原因でもある上皮間葉転換への影響という点に着目して研究を開始した。 まず、①解糖系優位な状態からミトコンドリア呼吸(癌特有の代謝から正常に近い代謝)へ代謝変動させるもの、②転移の原因となる上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition;EMT)を抑制するものの選別を行った。①に関し、我々はこれまでの研究で、代謝変動を誘導することにより、腫瘍増殖抑制効果、化学療法耐性の改善を引き起こすことを報告しており、代謝変動を誘導する可能性のある漢方薬成分が同様の効果をもつか更に検討を行っている。また②に関しては、当研究室で構築したEMT評価アッセイを用い、抗EMT効果をもつ漢方薬成分の選別を行い、EMTに関わる分子との相互作用を調べている。①や②により選別された漢方薬については、各々の構成生薬の共通性や違いを更に調べていくことで、漢方薬として作用機序、各生薬単位の作用機序にまで言及できるかどうか更に検討中である。
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