2015 Fiscal Year Research-status Report
アフガニスタン近代改革運動とインド・ムスリム知的ネットワークの相互連関とその動態
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15K21374
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
登利谷 正人 上智大学, イスラーム研究センター, 研究員 (90711755)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アフガニスタン / インド・ムスリム / ウルドゥー語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は20世紀前半のアフガニスタンにおける近代改革運動に関して、同国で初めての知識人組織として結成された「文学協会」の活動と同協会が多大な影響を受けたインド・ムスリムとの関係を通じて、近代化政策の諸相と知的相互連環を促したアフガニスタンとインド・ムスリム間共通の知的空間「ウルドゥー語圏」の動態について実証的に検討しようとする試みである。 本年度は研究実施のために必須となる一次資料の調査・収集と基礎文献収集のため、イギリスとパキスタンへの海外調査を計画していたが、京都大学アキール文庫にアフガニスタン関連の貴重な一次資料やウルドゥー語が数多く収蔵され調査・収集が可能な状況となったため、同文庫への調査を優先して海外調査は実施しなかった。同文庫では、20世紀初頭のアフガニスタンにおいて隔週にて刊行され、その近代化政策と知識人たちへ多大な影響を及ぼした『報道の灯火』の調査・収集を最初に行った。その他、20世紀前半にアフガニスタンを訪れた様々なインド・ムスリム知識人たちの旅行記を中心としたウルドゥー語一次資料の調査・収集も合わせて行った。 資料収集と並行するかたちで、20世紀初頭にインド・ムスリムがアフガニスタンに設立した「インド臨時政府」についてのウルドゥー語史料とアフガニスタン側ペルシア語史料の分析を進めて、その成果の一部を2015年7月の国際ワークショップで英語の報告を行うとともに、次年度以降の円滑な海外調査のための準備作業も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画していた資料調査・収集のための海外調査を実施しなかったが、これは京都大学アキール文庫に調査・収集予定であったアフガニスタンの一次資料とインド・ムスリム関連のウルドゥー語文献が数多く収蔵されていたためで、2015年6月の調査によってその目的を果たした。この調査を通じて得られた成果を踏まえて、次年度以降の海外調査を実施すべく準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に実施した一次資料・基礎文献の収集を踏まえて、今年度は実施しなかった英領インド植民地政府側の資料収集を次年度には実施する予定である。さらに、これまでの成果を広く発信すべく2016年9月にはドイツにおいて実施される国際会議にて英語の報告を実施する予定である。 また、今後必要となるアフガニスタンにおける言語・文化政策実施機関であった「パシュトー・アカデミー」の創設とその活動について分析するための資料収集と研究者とのネットワーク構築のための海外調査も実施の予定である。
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