2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K21380
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川上 淳之 東洋大学, 経済学部, 准教授 (20601123)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社内起業 / 組織資本 / 無形資産 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去年において進めてきた、社内起業に関する先行研究のサーベイを通じて得られた知見を用い、「社内起業に関する調査」をクロスマーケティング社に依頼をし、調査12月末から1月にかけて実施した。調査は5人以上企業の経営・企画部門、役員を対象に社内の状況を訊ねているもので、サンプルサイズは5000である。 調査は、社内起業に関しては「5年間の社内起業の状況」「社内起業の理由」「既存の事業との関係(異なる市場か、事業内容)」「準備期間、開始年、事業数、困難であったこと」「新企業が成功と判断されているか」で構成されており、社内起業家自身についの特徴、会社のサポート状況と、Bloom and van Reenen (2006)で用いられているマネジメント・スコアを用いた企業の組織資本の計測も実施している。これだけの規模で、社内起業に焦点を当てた調査では我が国ではまだ実施されておらず、その点において本研究の重要性が示される。 研究のデザインとしては、主にDifference-in-differenceの手法を用いて、「社内起業が必要である企業」「社内起業を始めることができた企業」「社内起業が成功したと社内で評価されている企業」で主観的パフォーマンスと客観的パフォーマンスが事前後事後で高まっているかどうか。および、その成功要因について検討を進めている。 また、社内起業に向けたサポート体制に焦点をあてることで、我が国において社内起業が進んでいない背景にどのようなものがあるか考察を加えている。 また、関連研究については、イノベーションを引き起こす役割を持つ人材創出の手段として、副業の保有に注目をしており、慶應義塾大学 パネルデータ設計・解析センターが提供する日本家計パネル調査を用いた分析も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妻の妊娠にともない、家事の負担をする必要になったことと、転職に伴い前任校の非常勤講師を担当することになったなど、エフォートを本研究に割くことが難しかったことが要因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
「社内起業に関する調査」の集計結果をまとめた報告書を作成し、学内の紀要で発表をする。また、Difference-in-differenceを用いた社内起業のパフォーマンスへの効果については、学術誌への投稿を目指す。また、同時進行で進めている、副業を通じたスキル形成については、日本経済学会での報告、海外の学術誌への投稿をすすめる。
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Causes of Carryover |
アンケート調査を実施したが、追加調査が必要である場合を考慮して、次年度使用額を残すこととした。また、次年度は追加調査の実施および、分析に用いるためのソフトウェア、PCの購入に加え、学会発表などの経費に充てることを計画している。
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