2016 Fiscal Year Research-status Report
内科学領域における医事紛争の実態分析と対策案の導出に関する研究
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15K21382
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大滝 恭弘 帝京大学, 医療共通教育研究センター, 准教授 (60464004)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療事故 / クローズドクレーム / 患者安全 / 医事紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本における病院・医師賠償責任保険のリーディングカンパニーである損保ジャパン日本興亜社の協力のもと、2004年~2014年の10年間に同社で処理された8530クレームを対象とした日本初の保険会社のクローズドクレームの分析研究である。本邦にはこの分野の先行研究が存在しないため、昨年度はパイロット的にリウマチ膠原病分野のクローズドクレーム分析を行った。同疾患領域は全例の分析を終え複数の学会で成果を発表した。また論文を2報作成し、英文誌に成果を投稿した。本報告書記載の時点で、関節リウマチ(RA)及び他の結合組織疾患(ACTDs)のクローズドクレーム分析の論文がChin Med J誌に掲載準備中(Ahead of Print)であり、もう1報が査読中である。前者では、関節リウマチ患者の診療に関するクレームの特徴を明らかにすることができた。二つの大きな特徴があり、一つは診断に関連したクレームが存在しなかったこと、もう一つは他のACTDsと比べて薬剤に関したクレームが多かったことであった。また、RA事案では高齢の患者からのクレーム数が多かった。高齢者に対する免疫抑制剤の投与は感染症などの合併症に十分注意すべきとされ、本クローズドクレーム分析もこれを確認できた。昨年度後半から呼吸器分野のクローズドクレームの分析を開始し、ほぼ解析を終えている。データの整理を行い、今年度の各種学会での発表及び英文誌への投稿に向け、準備を行っている。リウマチ膠原病分野及び呼吸器分野のクローズドクレーム分析を終え得られた知見を基に、他分野及び特定の手技や場面に伴うクローズドクレームの分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本邦の先行研究のない中でパイロット的に開始したリウマチ膠原病分野のクローズドクレームの分析結果を英文誌に投稿し、1報はアクセプトに至った。呼吸器分野のクローズドクレーム分析も事案分析を終了し、同分野の第1報を本年度中に英文誌に投稿予定としている。進捗は比較的順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本初のクローズドクレーム分析のため、対象は「内科」領域と広く設定してあるが、初年度/二年目の分析で見えてきた成果を有効に活用し、問題の多い疾患や手技に焦点を当てるなど様々な工夫をして分析を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
論文投稿費用の計上が次年度にずれ込んだことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿費用(英文校正・オープンアクセス誌)の支出などを予定している。大きな物品の購入予定はなく、研究を遂行できる予定である。
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