2016 Fiscal Year Annual Research Report
Deformation of spherical nanoparticles to disk-shaped particles and their two-dimensional interactions for biomedical applications
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15K21384
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡村 陽介 東海大学, 工学部, 准教授 (40365408)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高分子ディスク / 形状変換 / 接着性 / 薬剤放出特性 / 凝集反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子微粒子は高分子溶液を用いた乳化法等で調製される。得られる微粒子は、通常熱力学的に安定な真球形態のため、粒子同士あるいは界面との反応は点接触反応(1次元相互作用)となる。面をもつディスク状構造体であれば、目的界面と面接触反応(2次元相互作用)できるため、反応性の向上等、特異な機能発現が期待できる。初年度は、微粒子を熱プレスにて変形させディスクとする簡易調製法を確立し、面接触による2次元相互作用によって界面への接着性が向上することを見出した。そこで最終年度では、各種高分子からなるディスクを調製し、内包したモデル薬剤の放出特性ならびに凝集反応を検証し、従来の真球微粒子と比較した。 SPG膜乳化法により、生分解性ポリマー(PLGA)からなる真球微粒子を調製し、加熱プレス法を用いてディスクに変形させた。このとき、薬剤を想定した蛍光色素(DiOC2)の内包率は変形後も維持されていた(ディスク: ca. 0.20%, 微粒子: ca. 0.23%)。そこで、生体表面を模倣したゲル表面にディスクならびに真球微粒子を吸着させ経時的にDiOC2の放出を測定したところ、前者の放出速度は後者と比較して顕著に加速した。これは、ゲル界面に対する接触面積が増大したためと考えられる。以上より、微粒子の形状によって内包物質放出挙動を制御できることを実証し、新しい薬物運搬用担体として応用できる可能性を見出した。 また、モデル蛋白質を表面修飾したディスク、真球微粒子を調製した。蛋白質間を架橋する試薬を添加し凝集させたところ、前者は後者と比較して凝集速度が顕著に増大し、1分以内に目視可能な凝集塊となった。これは、ディスク間の面接触反応によって凝集が加速したものと考えられる。この知見は、新しい凝集比濁用担体として応用できる可能性を秘めており、現在、抗原抗体反応に置き換えて検証している。
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