2015 Fiscal Year Research-status Report
内皮細胞における内皮間葉分化転換の調節シグナルの解明
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15K21394
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
吉松 康裕 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (60586684)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 内皮間葉移行(EndMT) / 内皮細胞マーカー / 間葉系細胞マーカー / ALK-1シグナル / BMP-9 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は内皮細胞の系譜をトレースすることで内皮間葉移行(EndMT)現象を起こした細胞をモニターできるマウスを完全に樹立することが最重要で優先されることであった。いくつかの難所があったものの無事に解決できたことでマウスのかけ合わせが比較的順調に進みトリプルのトランスジェニックであるEndMTモニターマウスが樹立できた。また、このことについては細胞レベルでモニターできることが実証され、最初に計画していたマウスが今後の研究に充分使用可能であることが証明された。早ければ27年度中にEndMTを個体レベルで検出することが目標であったが、EndMTモニターマウスの樹立から間もないことや時間を要する点から、現在のところ完全な形では検出はできていない。具体的には発生期のEndMTを心臓で観察すること、腫瘍形成期の腫瘍内でEndMTを観察すること、さらに臓器の線維化におけるEndMTを観察することを目標にしていたが、このうち、発生期と腫瘍形成期のEndMTについて主に取り組むことができた。研究を効率的に進めるためにEndMTモニターマウスの樹立を待たずして骨形成因子BMP-9の受容体ALK-1のシグナルがEndMTに関与しうるかを検討した。発生期のEndMTについてはALK-1シグナルが関与しているかどうかについて現在解析中である。さらに腫瘍形成期のEndMTについてはEndMTの指標として、内皮細胞マーカーと間葉系細胞マーカーを同時に発現する、EndMTを起こしている最中の細胞を検出することによる代替法によって腫瘍内のEndMTをモニターすることに成功した。この腫瘍に対してALK1シグナルを阻害することでALK-1シグナルの役割を検討しているが、現在までに複数回の実験を行っており研究全体としては進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の全部ではないが、本研究の根幹をなす実験系の確立にほぼ成功したと言え、さらにその実験系を用いた研究がすでに進行中であること、また具体的な実験についても計画のほとんどについて着手していること、以上の点から概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もおおむね当初の計画どおりに進めていく予定である。すでに進行しているマウスモデルでの実験を精力的に進めて個体レベルでのEndMT現象の観察を行いながら、今後は特にEndMTの分子メカニズムの解明に向けて、細胞をマウスから単離し細胞レベルでの解析にも力点を置いていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究費の節約に努めた結果、1,540円が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残った研究費はそれほど大きな額ではないため、物品費として有効活用する予定である。
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Research Products
(6 results)