2015 Fiscal Year Research-status Report
倒産・上場廃止予測にとって最適な財務分析指標のパターン認識的選出
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15K21395
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
保坂 忠明 東京理科大学, 経営学部, 講師 (60516235)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 実質破綻予測 / AdaBoost / 財務指標選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、研究実施計画にしたがい、使用するデータの収集およびAdaBoostを用いて倒産予測にとって最適な財務分析指標の選出を行った。 本研究で対象とする倒産企業は、2002年1月から2014年10月の期間に一般的に実質破綻とみなせる事由(債務超過,銀行取引の停止,破綻・再生・更生手続き,合併を除く事業活動の停止)を理由として上場を廃止した会社とした。当該期間において、この条件に当てはまり正しくデータを取得できる企業の総数は150であった。それにあわせて、継続企業も無作為に150社を抽出した。これらの計300社の企業の貸借対照表および損益計算書を入手して、それらの決算報告書に含まれる任意の二項目間の比率を計算し、得られた大量の財務比率を財務指標の候補とした。 AdaBoostを利用した特徴量選択では、逐次的に財務指標が選択されるが、選出される指標によって誤識別される学習サンプルの重みが後段では大きくなる。そのために相補的に働く指標の組み合わせが自然と選択される。 提案手法により財務指標選択を行ったところ、1)純資産合計÷資本金、2)その他有価証券評価差額金÷資本金、3)その他利益剰余金÷流動資産、4)関係会社有価証券÷資本金、5)支払利息÷負債合計、 が選出された。AdaBoostでは、選出した財務指標を用いて予測モデルの構築まで扱うことができ、従来法において頻繁に用いられていた判別分析と比べて精度が高く、また有力な非線形識別器であるSupport Vector Machineと比較しても同等程度の識別精度が示された。さらに、AdaBoostの発展形であるRealAdaBoostを利用することで精度の向上を達成することもできた。 以上の研究成果について、1件の国内研究会発表、1件の査読付き国際会議発表、1件の論文誌発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成27年度はデータの取得のみで分析まで行う予定ではなかったが、AdaBoostを用いた分析まで行うことができた。その点においては当初の計画以上の成果が達成されている。しかし、データの取得において、改善すべき点が後から発見されたため、平成28年度に改めてデータを取得しなおす必要が生じている。これらの状況を総合的に考えて、全体としては、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、データを取得しなおす必要がある。具体的には、1)会計基準が異なる年度のデータを混在させないようにする、2)企業ごとに複数年度のデータを取得する、などである。1)をすることで、より正確な倒産予測ができるようになる。また2)をすることで、倒産の直前ではなくより早い時期の予測ができるようになる。 他にも貸借対照表、損益計算書だけでなく、キャッシュフロー計算書を利用することも考える。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、2回の対外発表を行ったものの当初の予定よりも物品費の使用額が少なかったため1.5万円ほどと少額ではあるが残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、対外発表や誌上発表を数多く行う予定であり、平成27年度の残額はそれらに関わる支出にあてる計画である。
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Research Products
(3 results)