2016 Fiscal Year Research-status Report
日本統治期の台湾、中国、韓国における鉄筋コンクリート造集合住宅に関する比較研究
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15K21403
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
栢木 まどか 東京理科大学, 工学部第二部建築学科, 准教授 (10453820)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国 / 大連 / 大連連鎖商店街 / 宗像主一 / 鉄筋コンクリート造 / 集合住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究対象都市を中国・大連とし、鉄筋コンクリート造集合住宅の背景把握と事例収集を進め、現地調査を行った。大連における鉄筋コンクリート造集合住宅事例である大連連鎖商店街については、昨年度日本建築学会大会にて発表した当初計画に関する復原的研究を更に進め、現地において、2つの街区における住棟の実測調査を行い、設計図面からの復原、その後の改装についてより具体的な検証を行った。 具体的には、E街区東部の棟において、各階の現在の使用状況を確認し、早い段階での増改築工事についての検討を行った。階ごと、部屋ごとに細分された現在の所有状況は戦後の激しい増改築と所有権の分割の結果だが、使用の様子を調査し、日本統治期における縦割り所有の状況、また和室や押入を持つ間取りの推測が可能となった。またE街区西部の外周を囲う街区についても、現在は界壁が抜かれ、大フロアのオフィススペースとなっている箇所の調査を行った。当初の間取り等は確認できなかったが、傾斜した表側の通りに対して、床面のレベルを階段状に調整した建設状況が明らかにすることが出来た。大連においては、比較対象として、戦前期にロシア人が開発したエリアに残る鉄筋コンクリート造集合住宅、また連鎖商店街以外の日本人の設計による集合住宅についても調査を行った。ロシア時代の建築に対しては、日本統治期に日本人による大幅な改築が行われたことが明らかになった。 その他、本研究の対象とした時代の鉄筋コンクリート造建築として、日本に残る戦前期のコンクリート製の蔵に関する構法学的調査を行った。大連、また台南におけるこれまでの調査事例とともに、構法的特徴に検討も今後の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
台湾、中国の現地調査については、計画通り進行しているが、その他の事例については情報収集が芳しくなく、新たな事例確認に至っていない。しかし、対象事例として台南・末廣町店舗住宅、大連・連鎖商店街については、現地調査の成果及びこれまでの文献調査により、当時の日本統治下における鉄筋コンクリート造集合住宅の外地での先駆事例としての評価を進めることが出来ていると考えている。 代表者の健康上の理由により、2017年春期に予定していた調査も実施できなかったため、今後の研究計画について見直していく。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の健康上の理由により、2017年春期に予定していた調査も実施できなかったため、今後、研究計画を見直しながら、引き続き、台湾、韓国、中国の各対象都市における鉄筋コンクリート造集合住宅の背景把握と類型化、事例収集を進め、これまでの成果をまとめる段階に進めていく予定である。 また今年度は、特に大連における調査研究成果を論文として発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
年度末に海外調査出張を予定していたが、研究代表者の体調不良により中止としたため、予算が大幅に残ることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費及びその他費用に追加して使用予定である。
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