2015 Fiscal Year Research-status Report
メチル水銀による小脳顆 粒細胞特異的傷害“炎症 仮説”の分子機構
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15K21405
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉田 映子 東京理科大学, 薬学部, 助教 (50735488)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メチル水銀 / 水俣病 / 炎症性サイトカイン / 小脳病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,メチル水銀による(1)脳微小血管細胞外マトリックスの特性変化,および(2)T-リンパ球による小脳顆粒細胞傷害に関わるパーフォリン/グランザイムB経路,(3)マクロファージによる顆粒細胞の傷害メカニズムとしてのマクロファージからの炎症性サイトカインの放出として,メチル水銀により誘導される炎症性サイトカインを検討した。 (1)メチル水銀を脳微小血管周皮細胞に曝露すると,シンデカン-4が特異的に誘導されることを見出した。シンデカン-4mRNAはメチル水銀の曝露濃度および時間依存的に誘導され,これはコアタンパク質レベルにおいてもメチル水銀により誘導が認められた。そこで,メチル水銀によるシンデカン-4の誘導機構を検討した。MAPK経路のうちp38 MAPKのみ,メチル水銀の曝露濃度および時間依存的な活性化が認められ,メチル水銀によるシンデカン-4の誘導に一部p38 MAPK経路の活性化が関与することが示唆された。 (2)メチル水銀に曝露したJurkut細胞において,曝露濃度および時間依存的に培地中へのパーフォリン/グランザイムBの蓄積が増加した。このとき,メチル水銀によるパーフォリンmRNAの発現誘導は微弱であったが,グランザイムB mRNAは顕著に上昇した。パーフォリン/グランザイムBの発現誘導に関わるシグナルとして既知のPI3K経路を検討したが,PI3K阻害剤を処理してもメチル水銀によるパーフォリン/グランザイムBの発現上昇への影響は微弱であった。そこで,メチル水銀によるEGFR/MAPK経路を検討したところ,メチル水銀によりEGFRおよびMAPKsが活性化され,それぞれの阻害剤によりメチル水銀による培地中へのパーフォリンおよびグランザイムBの分泌量の増加が抑制された。 (3)マクロファージにおいてメチル水銀により誘導される炎症性サイトカインとしてTNF-aが顕著に発現誘導されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画書通り,平成27年度は(1)細胞傷害性T-リンパ球・マクロファージの顆粒細胞層浸潤に関わる脳微小血管の細胞外マトリックスの特性変化の重要な要因としての脳微小血管周皮細胞のプロテオグリカンの発現変動としてシンデカン-4が変動することを見出し,(2)細胞傷害性T-リンパ球による顆粒細胞アポトーシス誘導機構としてJurkut細胞からのグランザイムB/パーフォリン放出がメチル水銀により増強されることを明らかにした。さらにそれぞれに関わるシグナルを明らかにしつつある。さらに,平成28年度以降の研究推進のために,(3)マクロファージからの炎症性サイトカインの放出として,メチル水銀により炎症性サイトカイン・TNF-aが顕著に誘導されることを予備的に観察している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については, (1)脳微小血管周皮細胞においてメチル水銀によりシンデカン-4が特異的に誘導された分子機構をより詳細に検討する。 (2)Jurkut細胞からのグランザイムB/パーフォリン放出がメチル水銀により増強される分子機構を詳細に明らかにする。特にグランザイムBは遺伝子レベルでの誘導,パーフォリンは細胞外への放出機構がメチル水銀により活性化されていると示唆れるので,それぞれについて検討する。 (3)マクロファージによる顆粒細胞の傷害メカニズムとしてのマクロファージからの炎症性サイトカインの放出として,メチル水銀により誘導される炎症性サイトカインTNF-aの顆粒細胞に対する傷害性,およびその誘導メカニズムを検討する。
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Causes of Carryover |
初代脳微小血管周皮細胞の購入にあたり,培養が難しいなどの理由で,複数回にわたる初代細胞の購入を予定していたが,問題なく初代細胞が培養できたことと,実験が計画通りに進んだことで,支出が押さえられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度以降は,炎症性サイトカインによる小脳顆粒細胞への影響をより詳細に検討するため,本年度だけでなく次年度以降も初代小脳顆粒細胞の購入等に使用する。
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Research Products
(7 results)