2016 Fiscal Year Research-status Report
メチル水銀による小脳顆 粒細胞特異的傷害“炎症 仮説”の分子機構
Project/Area Number |
15K21405
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉田 映子 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (50735488)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メチル水銀 / 水俣病 / 炎症仮説 / 小脳病変 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,マクロファージ(RAW264.7細胞)においてメチル水銀により誘導される炎症性サイトカインとして同定されたTNF-aの(1)小脳顆粒細胞に対する傷害性の評価,(2)マクロファージ(RAW264.7細胞)における発現を上昇させるメカニズムとしての細胞内シグナル伝達を明らかにした。さらに,昨年度に引き続き,メチル水銀によるT-リンパ球による小脳顆粒細胞傷害に関わるパーフォリン/グランザイムB経路について,(3)T-リンパ球のモデルとして用いたJurkat細胞からのパーフォリン/グランザイムB放出シグナルを明らかにした。 (1)TNF-aの小脳顆粒細胞への選択的な傷害について,一般的にTNF-a高感受性である血管内皮細胞,さらに低感受性である血管平滑筋細胞をもちいて,TNF-aによる細胞毒性を比較,検討した結果,血管内皮細胞(TNF-a高感受性)と同様にTNF-a処理濃度依存的な細胞傷害が小脳顆粒細胞においても認められた。この時,血管平滑筋細胞(TNF-a低感受性)においてはTNF-a処理による細胞傷害性は認められなかった。 (2)メチル水銀によるRAW264.7細胞からのTNF-a発現上昇メカニズムとして一部p38 MAPKが関与すること,さらに転写因子としてNF-kBが関与することが示唆された。 (3)メチル水銀によるJurkat細胞から遺伝子レベルで誘導されるグランザイムBは,メチル水銀によるPTP1Bの阻害を介したEGFR/p38 MAPKおよびEGFR/ERKシグナルが関与し,一部JNKが細胞外への放出に関与することが示された。また,パーフォリンはEGFR/p38 MAPK,ERKシグナルとJNKの活性化が細胞外へのパーフォリン分泌に関与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通り,平成28年度以降の実験計画のうち約6~7割(顆粒細胞への傷害性評価およびマクロファージからの炎症性サイトカイン発現上昇シグナルの解析)を遂行し,研究成果が得られた。これにより平成29年度はマクロファージからの放出されたTNF-aによる顆粒細胞の選択的な傷害について,より詳細な解析を行うことと,これまでの研究成果を当該分野の国際雑誌へ論文投稿する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては, (1)マクロファージからの放出されたTNF-aによる顆粒細胞の選択的な傷害について,より詳細な解析を行うこと (2)これまでの研究成果を当該分野の国際雑誌へ論文投稿し公表すること である。
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Causes of Carryover |
昨年度の未使用額が20万円あったことと,初代細胞の培養系が確立され問題なく研究が遂行されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は当該分野の国際雑誌への論文投稿を予定しているため,英文校正や論文投稿料として活用する。
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Research Products
(9 results)