2015 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーションを導入した持続可能性評価のプロセス構築-公共施設再編を例に-
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15K21407
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小野 聡 立命館大学, 政策科学部, 助教 (20724636)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 影響評価 / 公共施設管理 / 計画策定プロセス / 意思決定論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、公共施設マネジメントを影響評価(Impact Assessment)の観点で記述するための概念枠組みを構築し、調査を行った自治体(千葉県習志野市、神奈川県秦野市、および滋賀県大津市)における計画策定プロセスを記述することによって概念枠組みの妥当性を検討した。 より具体的には、社会影響評価や環境影響評価の理論的背景であるシステム分析(Systems Analysis)における代替案評価理論を基盤とし、「問題の定式化」「現状分析」「代替案の検討・作成」「評価」「解釈」の諸要素が、実際の公共施設マネジメントの計画策定プロセスにどのように現れているかを観測し、現行のプロセスの問題点および概念枠組みの修正すべき点を考察した。 その結果、現行のプロセスの課題点として、交通や安全など社会的に影響が想定される諸要素に対するインパクトの大小を事前に明示すべき旨が制度的に全自治体に共有されておらず、「必要であると判断されたものについて」定性的に影響評価と対策検討がなされていることがわかった。すなわち、影響評価においてスコーピングやミティゲーションの根拠が明示される仕組みが作られていない現状が示された。一方で、スコーピングとミティゲーションの限定は、首長の公約とする事業によって強く影響を受けることが想定されることから、概念枠組みに政治的な要素による影響に関する因子を盛り込む必要性も強く示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は転勤などによる予定調整の難しさにより、当初予定よりやや遅れる研究進度となった。 具体的には、当初予定よりも遂行できた調査の量が少なく、文献調査のみで終わってしまった自治体もあった。一方で、概念枠組みの構築は期待程度の進度で進められたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
新規にインタビュー調査を行う対象として、京都府舞鶴市など市全体計画と地区計画の両者を検討した自治体を選定し、インタビュー調査を行うこととする。その際に政治的な要素を表す因子と計画策定プロセスに関する因子の間の因果関係を把捉するために、計画策定プロセスへの参加者の関係者分析や、各自治体における予算配分に着目することとする。
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Causes of Carryover |
実績に記載したとおり平成27年度に遂行できなかった国内調査があることと、国際学会参加にかかる費用が平成28年度扱いになったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続して国内調査を行い、平成28年度5月11日に発表決定している国際学会にかかる旅費が今後計上される予定である。
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