2017 Fiscal Year Research-status Report
反応準備期負荷の抑制・変更に関する脳活動への影響とパフォーマンスとの関係の解明
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15K21414
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高寄 正樹 日本大学, 生産工学部, 講師 (40635520)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 反応抑制 / 反応変更 / 随伴陰性変動 / 予測的注意 / after-effects |
Outline of Annual Research Achievements |
反応運動の抑制ならびに変更は,ヒトが目的の行動を達成するために重要な実行機能である。これまで,抑制と変更を組み合わせた難易度の異なる3種類の反応変更課題時の脳活動を比較することで,反応準備期の負荷量の違いが反応準備期と実行期の脳活動様式に及ぼす影響とパフォーマンスとの関係について検討した。その結果,課題の難易度に応じて予測的注意機能が高まるとは限らないことが明らかとなった。これは注意資源には制限があることを示唆している。 今年度は反応抑制もしくは変更が指示された試行が直後の反応試行に影響を及ぼす心的現象(after-effcts)に着目して,予測的注意機能と反応準備期の負荷量の関係について明らかにすることを目的とした。課題にはこれまでと同様に難易度の異なる3種類の反応抑制/変更課題を用いた。反応準備期の脳活動の指標としては,随伴陰性変動(CNV)を用い検討した。反応抑制もしくは反応変更の直後の試行においては,反応時間が延長しており,after-effctsの現象が確認された。そして,比較的難易度の低い2題においては,反応抑制/変更の失敗後よりも成功後のほうが,反応時間は短くCNVの振幅が大きかった。一方,難易度が高い課題においては,他の2課題と逆の結果が得られた。これらの結果より,課題の難易度が高い場合には,多くの機能に注意が配分されるため,予測的注意へ分配される注意の資源が少ないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に関しては比較的スムースに研究を進めることができ,難易度の異なる3種類の反応変更課題を用いて,予測的注意機能と反応準備期の負荷量の関係についてについて明らかにすることができた。学会発表にて本研究成果の発表した際に,有益なコメントを得ることができ,追加のデータ解析を行った。現在,すでにデータ解析は終了しているが,前述の理由により,論文執筆に取り掛かるのが遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた予測的注意機能と反応準備期の負荷量の関係についての知見について,学術誌に論文として発表する。加えて,前年度までに得られた反応準備期の負荷量が運動準備期ならびに実行期に与える影響について,総合的に検討し,反応抑制・変更の最適なパフォーマンスを発揮するための条件と大脳皮質活動について明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由) 論文の掲載料ならびに印刷製本費を予定していたが,現在,論文は執筆中のため,年度内に当該予算を使用することができなかった。 (使用計画) 論文作成にともなう英文校正費と掲載決定後の掲載料・印刷製本費として使用する予定である。
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