2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔機能の向上に効果的な新しい機能訓練プログラムの確立
Project/Area Number |
15K21415
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 睦 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (80565010)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔機能 / 舌圧 / 咀嚼機能 / 咬合力 / 絶対信頼性 / 相対信頼性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、口腔機能の向上に効果的な新しい機能訓練プログラムを確立することであり、そのためにはまず、口腔機能を客観的かつ簡便に複数の要素から評価でき、その基準値を明確化することが必要である。そこで健常成人を対象として、①JMS舌圧測定器、Lip & Tongue Pressure Gaugeを用いた口腔周囲筋圧(舌圧・頬圧・上唇圧・下唇圧)の測定、②デンタルプレスケールを用いた咬合力の測定、③グミゼリーを用いた咀嚼能率の測定を行った。得られたデータは、Bland-Altman分析およびICCを用いた信頼性と妥当性の検定から測定精度を検証し、Spearman-Brownの公式とICC値から信頼係数が0.9以上となる測定回数を求めた。また、①口腔周囲筋圧の測定に関しては、1日目の測定日から1週間後に2日目の測定日を設けて変動係数を求めた。さらに各筋圧の相関関係をPearsonの積率相関係数を用いて分析した。 その結果、各筋圧の測定日間の変動係数は同等であった。ICCはいずれも高値を示し、信頼係数が0.9以上となる測定回数は舌圧・頬圧・上唇圧で1回、下唇圧・咀嚼能率で2回であった。Bland-Altman分析の結果、各筋圧の加算誤差と比例誤差はいずれも認められず、系統誤差は検出されなかった。各測定器により得られた複数の筋圧値の変動係数に大差はなかった。上唇圧と下唇圧、両測定器の舌圧、舌圧と頬圧、舌圧と咀嚼能率の間で正の相関関係が、下唇圧と舌圧の間で弱い正の相関関係が認められた。 以上のことから、各口腔周囲筋圧と咀嚼能率の間に関連性があること、各測定器により得られた測定値は再現性および信頼性が高く、チェアサイドでの口腔機能の評価法として簡便で有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、各測定器を用いた口腔機能評価が短時間で簡便に行えることが明らかとなり、かつ少ない測定回数で信頼性の得られる測定値を得られることが示されたことから、高齢者や疾病を有する対象者にも応用可能である可能性が示されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で各種口腔機能の関連性が示され、各測定器の特徴を踏まえた測定項目や測定回数を含む評価法が明示された。次年度は口腔機能訓練を実施し、その評価から国民の健康維持・増進に貢献ができる新しい機能訓練プログラムの模索に努める。
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Causes of Carryover |
成果発表を行わず国内旅費の支出がなかったことに加え、投稿雑誌(Acta of Bioengineering and Biomechanics)は論文掲載料が不要であったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表のための国内旅費、およびその他として論文投稿料に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)