2018 Fiscal Year Research-status Report
資産代替問題が参入・退出と水平的合併による産業構造の変化に及ぼす影響について
Project/Area Number |
15K21418
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
宮澤 信二郎 法政大学, 経営学部, 准教授 (30523071)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 資金調達 / 資産代替 / 寡占 / 産業構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
過年度に引き続いて,資金調達と寡占市場での競争の関係について分析を進め,資金調達の問題が企業の多角化,参入・退出,合併といった産業構造の変化に関わる動きに及ぼす影響に関して検討した。また,分析の前提として,資金調達と製品戦略に関して,一般的な設定のもとで分析を行うとともに,より詳細な比較静学分析を実施すべく,特定化した設定のもとでの分析も行った。この研究により,運転資金の調達と製品戦略に関する意思決定の相互作用,その産業構造に及ぼす影響,これらに対する財務状況の影響などについて明らかにしつつある。 関連して,資金調達時の情報構造の違いが資金配分に及ぼす影響についての研究成果を,所属機関の紀要で公表した。この研究により,資金配分が第三者には観察できない場合には,資金配分が流動的な資産への投資を偏重するように歪むが,第三者にも観察できる場合には,逆に,非流動的な資産への投資を偏重するように歪んでしまうことを示した。投資に歪みが発生する仕組みを示した研究は数多く存在するが,知る限り,情報構造の違いが異なった方向の歪みを引き起こし得ることを示した研究結果は存在せず,企業金融の研究に一つの貢献を果たすことが見込める。 研究を推進するため,日本経済学会の春季大会(6月,兵庫県立大学で開催)およびMAEDA(11月,北海道大学で開催)に参加し,関連する研究や分析手法に関する情報を収集し,参加者数名と本研究に関して意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題における解析作業が想定以上に困難を伴い,当初の計画よりも時間を要してしまった。さらに,所属機関におけるカリキュラム改革に伴う教育関連業務および家庭における子の養育に,想定以上の時間をとられ,研究に充当する時間が細切れになってしまい,作業効率が低下してしまった。以上のことから,遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の事情で遅れが生じていたことから,補助期間を延長し,2019年度までとした。2019年度の早い時期に分析結果をまとめ,論文執筆にとりかかり,年度半ば以降に,研究会等で口頭報告を行うとともに,査読付き雑誌への投稿を行う。また,学会や研究会において,関連分野の専門家から助言を受け,成果公表の早期化を図る。所属機関における教育関連業務に関しては,引き続き時間をとられることが予想されるが,家庭内の役割分担の見直しを進めていることから,昨年度までよりも研究時間を確保できる見通しである。
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Causes of Carryover |
(理由) 学内の業務及び家庭の事情により海外の学会への参加を見合わせた。また,研究の遅れにより,英文校正費や投稿料の発生が少なかった。以上により,次年度使用額が生じた。 (使用計画) 主に,国内外の学会への参加,英文校正費,投稿料に使用し,残額は返納する予定である。
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