2015 Fiscal Year Research-status Report
ユニバーサルスポーツの理論及び学習プログラムの構築とその評価法の確立
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15K21420
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
田中 愛 武蔵大学, 人文学部, 准教授 (10508534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ユニバーサリティ / 現象学的スポーツ身体論 / 多様性 / 意味としての身体 / アダプテッド・スポーツ / 身体的可能感 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請時に記載した目標は、(1)身体論のまとめと能力観の現状把握、(2)「ユニバーサリティ」の概念的明示、(3)アダプテッド・スポーツの各種目の教材的意義の検証、であった。 具体的な実施内容としては、近代スポーツの論理における身体の位置づけに関して、スポーツに関する人文・社会科学分野における身体論を概観し、ユニバーサルスポーツの普及を支え得る身体論を確立する試みを、文献研究や学会発表を経て進め、最終的に原著論文を投稿することができた。また、「スポーツの多様性」のキーワードとなる「ユニバーサリティ」の内実について明示するため、ニュースポーツや軽スポーツとユニバーサルスポーツとの比較を行い、研究会や学会発表の際に議論を深めることができた。これらの2点は、本研究課題の理論的な基礎固めという意味で、大きな進展であったと考える。 具体的な成果としては、運動発達と能力観に関する現象学的考察、ユニバーサルスポーツの授業実践研究、アダプテッド・スポーツ実践及び現象学における身体論に基づいた考察の3点に関して、学会発表4件(うち国際学会3件)及び論文投稿1件(平成28年3月31日現在投稿中)である。 次年度(28年度)には授業実践及び評価法の検証を行うが、身体論やユニバーサリティの概念が当年度のうちに明らかになったことによって、学習プログラムの目指すべき方向性が具体的になり、一回ごとの授業内容も理論的基礎に照らし合わせながら作成、改良することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の理論的基礎に位置づく身体論の検討を進展させることができた。また、ユニバーサリティの概念についても掘り下げることができた。ただし、「能力観」及び「スポーツ観」についての大学生年代へのアンケート及び聞き取り調査については、当年度は理論的研究を優先したため次年度へ引き継ぐこととした。 具体的な成果として、「身体の多様なあり方」について、アダプテッド・スポーツ実践及び現象学における身体論に基づいた考察を行い、学会発表4件(うち国際学会3件)及び論文投稿1件(平成28年3月31日現在投稿中)を行った。 以上の理由により、ほぼ当初の計画通りの進捗状況であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当年度の理論的考察を元に、今後は実際の授業展開とその評価法の検討へと進む。特に評価法の必要性については、当年度学会発表の際にも隣接分野の研究者から指摘を受けたところであり、本課題の核となる部分として優先的に実施していく。 具体的には、アダプテッド・スポーツの授業実践の際、授業開始時と終了時に受講者にアンケート及び面談による聞き取りを実施する。また、評価に関して、教育学分野等における先進的な評価論を先行研究とし、本学習プログラムに最適な評価法について考察する。この点に関しては理論的検討の範囲内であるため、隣接分野の研究者とのディスカッションが不可欠となる。研究会や学会の場で広くその機会を得られるよう努めるだけでなく、必要に応じて個々に連絡を取りやりとりする予定である。 さらに、授業実施に関する具体的な作業内容として、授業をビデオ録画し、あらかじめ設定した評価項目に照らし合わせた評価を試行する。得られたデータをもとに学会発表及び論文投稿を行う。 また、当年度に完了しなかった「能力観」及び「スポーツ観」についての現状把握についても今後実施する予定である。
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