2015 Fiscal Year Research-status Report
折り畳み構造の機械的特性の解明と工学応用に関する研究
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15K21422
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石田 祥子 明治大学, 理工学部, 助教 (40636502)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 展開構造 / 形状モデリング / 防振・免震 / 振動解析・試験 / 折紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,数理的に得られた折り畳み可能な形状を工学へと応用し,日本発の産業イノベーションを創出することである.2015年度は工学応用の一例として,折り畳み可能な構造からなる防振機構について研究を進めた. ①汎用的な機械要素を用いて実現可能な折り畳み構造の設計 本研究では円筒のねじり座屈のパターンから生まれた筒型の折り畳み構造を対象とした.本折り畳み構造は,伸縮の過程において双安定な挙動を示すことが知られており,これが防振性能を得るために必要であるからである.本折り畳み構造は数理的な模型であり,3本以上のトラス部材が1点に集まり自由に回転するピン結合は汎用的な機械要素を用いての実現が難しく,信頼性・安全性の点からも問題がある.そこで,部材同士の干渉を減らし,複数のトラス部材が1点に集まることのないよう設計を行った.トラス部材を線形ばね,ジョイント部をユニバーサルジョイントで表現し,金属製の折り畳み模型を製作した. ②金属製折り畳み模型の力学的特性 試作模型に荷重を負荷し伸縮させた時の構造の変位を測定し,試作模型の荷重―変位曲線を得た.数理模型では考慮されていないジョイント部の摩擦の影響を考慮する必要があるが,試作模型において本研究の要となる双安定性が問題なく得られていることを確認した. ③金属製折り畳み模型の防振性能評価 折り畳み構造の防振性能を評価するため加振実験を行った.結果,ある周波数域で優れた防振性能を発揮することが明らかになった.現在は試作模型1台の結果のみのため,異なる設計条件で新たな模型を製作し,防振可能な周波数域を拡張すること,および設計条件と防振性能の関係を明らかにすることが今後の課題である. これらの研究成果は国内外の学会および一般市民向け講演会等で発表を行った.また,1本の学術論文を投稿済み(査読中),1本の学術論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度の目標であった「汎用的機械要素を用いた折り畳み構造の試作」と「加振実験による防振性能の評価」を達成できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
加振実験の結果,本防振機構はある周波数域で優れた防振性能を発揮することが明らかになった.現在は試作模型1台の結果のみのため,異なる設計条件で新たな模型を製作し,防振可能な周波数域を拡張すること,および設計条件と防振性能の関係を明らかにすることを目的に研究を継続する. さらに,防振機構に用いた円筒のねじり座屈のパターンから生まれた筒型の折り畳み構造だけではなく,他の折り畳み構造に対しても力学的特性の把握を進める.伸縮過程における荷重と変位の関係,各部材に生じるひずみを解析する.
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Causes of Carryover |
外部の業者に委託することなく,本学の付属工場において模型の試作を行うことができたため,材料費や製作費を予定よりも安価に抑えることができた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
設計条件と防振性能の特性を明らかにするため,今年度は設計条件の異なる模型を複数製作するが,予算に余裕があるため予定よりも多くの模型を製作し詳細な研究を行う予定である.
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Research Products
(12 results)