2016 Fiscal Year Research-status Report
大規模データストリーム解析高速化に向けたベンチマークセットの構築
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15K21423
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
秋岡 明香 明治大学, 総合数理学部, 専任准教授 (90333533)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 性能評価 / ベンチマーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度に(ストリーム解析処理に限らない)大規模データ解析向けの既存ベンチマークを網羅的にサーベイしたが、そこで次の問題が明白になった:1)入力データをベンチマークに含めることの重要性は共通認識としてあるが、既存ベンチマークの多くはこの問題を解決していない、2)入力データのサンプルをベンチマークに含める例はいくつかあるが、入力データの特徴とプログラムの挙動の関係性を明らかにしたベンチマークは皆無である、3)ストリーム解析処理のモデル化は全く進んでいない。本研究で提案するストリーム解析処理のベンチマークを現実的かつ実用的なものとするには、入力データとプログラムの挙動の特徴抽出は不可欠である。一方で、この問題への取り組みは十分ではなく、経験則に頼っている状況である。 そこで、2016年度は入力データとプログラム挙動の特徴抽出と関連性の発見に取り組んできたが、当該年度中に国際学会等で発表を行なうまでに十分な突破口にいたることはできなかった。しかし、2016年度半ばから、大規模数値計算分野の研究者とこの問題を共有し、議論を進めている。大規模行列計算では、対象とする行列の非ゼロ要素の割合、非ゼロ要素の分布、構造、対称性などの特徴に応じて、適用するアルゴリズムを変更したり、前処理を施したりするなどの工夫をすることで、計算精度や処理速度の向上を図る。アルゴリズムの選択を誤った場合には、計算時間が膨大になるだけでなく、解を正しく得ることができない自体も生じることから、入力データの特徴に応じた適切な前処理・アルゴリズムの選択は、独立した研究分野のひとつとなっている。2017年度は、こうした大規模数値計算分野における長年の研究で培われてきたノウハウを、本課題の入力データの特徴抽出と挙動解析の問題に応用的かつ実験的に適用することで、引き続きこの問題の解決法を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度は、当初の計画通り、本研究課題の中心的な問題に取り組んだが、同様の問題に取り組む既存研究がほぼ皆無であり、単独で研究を進めていたが難航していた。そこで年度途中から、隣接分野で類似の問題に長年取り組んできた研究者と問題を共有し、議論を重ねることに時間を費やした。その結果、大きな方向性は定まり、2017年度には実験的にいくつかの手法に取り組む方針が立ったが、2016年度中に学会発表や公開物などの具体的な成果にまとめるところまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度に取り組み予定していた問題は、当初の想定よりもはるかに難易度が高く、独立した課題として扱っても十分な内容であることが、前述の研究者との議論で明確になった。そこで、当該問題は2017年に採択された国際共同研究強化の課題として独立させ、重点的に取り組んでいくことにした。これに伴い、本研究課題では、当該問題については国際共同研究強化の研究成果を積極的に取り入れる方向とし、その他の問題であるデータ依存グラフや処理依存グラフの作成、ベンチマーク化と言った内容に重点を置いて取り組むことにする。
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Causes of Carryover |
2016年度は海外研究者とのSkypeによる議論、および既存研究設備を用いた実験を行なったため、旅費や新たな研究設備の整備といった出費が必要とならなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は2016年度の実施内容を国際会議や論文誌に投稿する予定があり、当初は2016年度に予定していた研究発表を行なうために使用する。
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Research Products
(1 results)