2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神山 恭平 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (50738383)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 支配的リアプノフバンドル / 支配的リアプノフ指数 / 準周期解 / 分岐解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では準周期解の分岐解析を行うために固定点における固有ベクトルを一般化したリアプノフバンドルという概念を用いる。離散時間力学系では2次元、連続時間力学系では3次元の準周期解の局所分岐構造をリアプノフバンドルの形状により説明可能であることを示した。さらに、このリアプノフバンドルの形状を0次元断面上の位相分布から自動判定する手法を開発した。[Lyapunov Bundle on 0-Dimensional Section Torus and Bifurcation of Quasi-Periodic Solution, 2016 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications, B2L-C, pp. 378-380, 2016] これらにより準周期解の局所分岐を統一的に説明が可能となり、さらに自動判別手法を用いることで準周期解を連続変形しつつ局所分岐の判定を行うことが可能となった。以上により準周期解の局所分岐解析手法の基礎を確立したといえる。これによって、自然界に普遍的に存在する振動子の相互作用として現れるさまざまな準周期現象の説明ができ、さらにはその制御へとつながる可能性がある。 また、2次元離散時間力学系においての準周期解の発生経路であるホモクリニックサイクル分岐とその発生源であるサドル点の固有値の関係性を詳細に調査した。[Homoclinic Cycle Bifurcations in Planar Maps, International Journal of Bifurcation and Chaos, Vol. 27, No. 02, page 1730012, 2017]
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
準周期解の局所分岐構造をリアプノフバンドルにより統一的に説明することに成功した。加えて、0次元断面上の0次元トーラスにおけるリアプノフバンドルの位相分布から準周期解の局所分岐を判別する手法を開発し、その具体例を示すことができた。準周期解の局所分岐解析の進捗は順調であるといえる。 一方で、準周期解の実問題への応用として発振器の結合系を用い最適化問題を解く手法を検討しているが上手い実装方法が確立できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、サドル型の準周期解をフーリエ級数近似することによりニュートン法による求解を可能とする手法が編み出された。これを取り入れることによりサドル型の準周期解に対してもリアプノフバンドルが計算可能になると予測され、これをもとに不安定多様体を計算し、その接続関係を判定することで大域的分岐の分岐解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年から参加したプロジェクト経費により数値計算に用いる高性能な計算機が支給され、さらに旅費に関しても支給されたために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額1,745,979円と翌年度請求額1,100,000円の合計2,845,979円が平成29年度分の合計助成金額となる。広範囲な分岐パラメータ探索に用いる並列計算機の購入に2,000,000円、最新の分岐解析手法を調査するための謝金として300,000円、その他書籍代等として300,000円を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)