2016 Fiscal Year Research-status Report
伸張性収縮による骨格筋の活性と損傷および適応に関する研究
Project/Area Number |
15K21426
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
土屋 陽祐 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 助教 (20614473)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋損傷 / 繰り返し効果 / 運動単位 / 伸張性収縮 / 横緩和時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋が引き伸ばされながら張力を発揮する伸張性収縮(ECC)は、短縮性収縮(CON)や等尺性収縮に比べて、筋力(MVC)低下、関節可動域(ROM)の制限、遅発性筋痛(DOMS)、骨格筋の腫脹、血中クレアチンキナーゼ(CK)の増加を引き起こす。ECCによる筋損傷の原因は、サルコメアや筋内膜の形態変化、筋線維や結合組織における炎症反応によるものであると想定されている。このECC誘発性筋損傷は、ECCを繰り返し行うことによって筋損傷が軽減することが明らかになっており、この現象は”繰り返し効果 (RBE)”と定義されている。RBEのメカニズムは、神経系の適応、筋腱複合体の適応、細胞外マトリックス構造のリモデリング、炎症反応などが複雑に関わっているとされているものの、未だ不明な点は多い。そこで本研究は、磁気共鳴画像法(MRI)の横緩和時間(T2)を用いて、筋線維の動員とRBEについて検証し、以下の結果を得た。 肘関節屈曲による30回のECCを負荷し、その2週間後に同様のECCを負荷した。その際の運動直後のT2および筋損傷の程度を比較した。その結果、2回目のECC後のMVCの低下、ROMの制限、遅DOMS、筋の腫れが1回目のECCに比べて、有意に抑制された。さらに、運動直後のT2の上昇は1回目のECCに比べて2回目のECC後の方が有意に大きかった。したがって、2回目のECCでは、筋線維の動員が増加することによって筋損傷が抑制されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では計画通り、繰り返し効果(RBE)のメカニズム解明のため、磁気共鳴画像法(MRI)の横緩和時間(T2)(筋線維動員の指標)とRBEの関係を検討した。その結果、2日目のECCでは運動直後のT2の上昇が1回目のECCよりも有意に大きな上昇が確認され、かつ筋損傷の程度も小さいという結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータの解析を進める。さらに、筋線維の動員については、MRIのT2に加えて筋電図での評価も加えて検証する。
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Causes of Carryover |
購入を検討していた物品を次年度に変更したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験の消耗品およびデータの公表に関わる経費に充てる。
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Research Products
(2 results)