2018 Fiscal Year Annual Research Report
Sociological research on claims-making activities of those who experienced "hikikomori"
Project/Area Number |
15K21427
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
関水 徹平 立正大学, 社会福祉学部, 准教授 (40547634)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ひきこもり経験 / 当事者活動 / ポジショナリティ / 「不可能性への配慮」 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間を1年延長した今年度(最終年度)は、研究期間中の成果に基づく論文1篇を公表し、一般市民・学生向けに2つの公開講座の講師を務めた(「ひきこもりからみる日本社会のこれまで・これから」(愛媛銀行寄付講座・聖カタリナ大学公開講座「風早の塾」2018年12月14日、「若年無業者のリアル-果てしない孤独 当事者の声から」若者の自立を考える親と地域のためのセミナー(認定NPO法人キャリア・デザイナーズ10周年記念事業)2018年10月28日)。また、JYCフォーラム「第14回全国若者・ひきこもり協同実践交流会 in あいち」の「分科会1困窮(経済・関係性)」にてコメンテーターを務めた。 論文においては、主に以下の2点を論じた。 (1)ひきこもり経験の当事者たちによる活動の核には、挫折経験(期待に応えることの「できなさ」)やその積み重ねによる「動けなさ」を自分の立場(ポジショナリティ)として引き受ける、「動けなさ」「できなさ」の肯定、当事者発信の「ひきこもり新聞」に掲載された、ある経験者の表現を借りれば「不可能性への配慮」がある。「不可能性への配慮」を核とした活動とは、具体的には、問題経験の当事者として「できなさ」「動けなさ」の経験を分かち合うセルフヘルプや、「できなさ」「動けなさ」を起点としたセルフアドボカシーの活動である。 (2)この「不可能性への配慮」は、当事者たちの連帯の重要な基盤になっている。ピアサポートなどひきこもり経験を活かした活動が、どれほど社会的な期待に応えるものであっても、この「できなさ」への配慮を基盤とした活動でなければ、当事者活動としては、社会的期待にもとづく当事者の序列化や分断につながる。当事者活動の担い手たちは、このことに自覚的である。 ひきこもり経験者による、「当事者による当事者のための活動」としての当事者活動は、この2つの特徴をもって展開されている。
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