2017 Fiscal Year Annual Research Report
comptences of cultural coordinator who support realizing the equality between sexes
Project/Area Number |
15K21432
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
矢内 琴江 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (60732667)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フェミニズム・アート / 組織学習 / コミュニティ / ケベック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ラサントラルの出版する記録を分析し、ギャラリーの組織運営と実務を行うコーディネーターたちに求められている力量を、当事者の言葉により明らかにし、男女平等と多様性の視点から文化活動を組織運営するコーディネーターの社会的意義について理論的根拠を提供することであった。特に、本研究では、カナダ・ケベック州のフェミニズム・アートのギャラリー、ラサントラル/ギャルリー・パワーハウスが1990年から2012年にかけて出版した7冊の記録に着目し分析することを試みた。 本研究では7冊の実践記録の分析を通して、実践の記録化の営み時代が、ギャラリーというコミュニティの長期にわたる実践を支える役割を果たしていたことを明らかにした。1つ目の役割は、コミュニティの学習を支える方法としての役割であった。そのは、第1にコミュニティの歩みを跡づけ、さらなる展開に向けての方向づけを行うこと、第2に共同体による継続的な思考を維持することであった。2つ目の役割は、フェミニズム・アートの展開を支えるメディアとしての役割であった。その機能は、第1に作品を評価する言語を獲得することにかかわり、第2に新たな創造性を構築することにかかわるものであった 以上の記録の分析を通して明らかになったコーディネーターに求められる重要な力量とは、次の4点をあげることが出来るだろう。第一に、アートにおける様々な性差別構造を分析する力、第二に、一つの言説に依拠するのではなく、女性たちやマイノリティの創作活動そのものに内在する創造性を引き出す力、第三に、先の2点のふまえながら作品展やイベントをコーディネートする力、第四に、コミュニティの組織学習をコーディネートする力である。 なお本研究の重要な成果として、ギャラリーが出版した『フェミニズム・エレクトリック』を日本語訳し成果報告書にまとめた。
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