2015 Fiscal Year Research-status Report
包括的アプローチによる分位数回帰の有効推測とその応用
Project/Area Number |
15K21433
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷合 弘行 早稲田大学, 国際学術院, 助教 (40579653)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分位数回帰 / セミパラメトリック / 確率的検閲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「分位数回帰モデルの有効推定」を起点として、その応用について取り組んでいる。一般の分位数回帰モデルに従う確率変数は一様確率 変数を引数とするランダム係数(random coefficient)表現を持つが、まずはこれを一種の混合分布モデル(mixture model)とみなすことにより包括的な枠組みの下で統計的推測の有効性を求めた。元来、分位数回帰モデルが系列の値ではなくその分布的性質を説明するため、母数は関数として考える方が自然である。それは説明変数で張られる空間に観測値の“分布を”分配することになり、関数空間での考察を要する。これについて、ひとまず出たと思われる結果をシアトルでの「JSM 2015」において口頭発表をした。そこでのフィードバックなどを踏まえて現在は雑誌投稿に向けて準備中である。 上記の結果を応用する形で、今は確率的検閲(random censoring)されたデータの分析を対象にしている。それは生存時間分析において見られるような、実験対象が期間中にランダムなタイミングで退場してしまう設定である。何も情報が無い状況においては既存の推定量が持つ良い性質が知られているが、分位数回帰モデルとの関連は比較的新しい話題である。この文脈に沿って、本研究が与える推測手法が説明変数の持つ情報を最も有効に反映することが期待される。 他に平成27年度には、分布の定義域が両端で繋がっている点が特徴である方向統計学での研究にも携わった。これらは共同研究への参加という形であるが、富山県でのシンポジウムやロンドンでの「CMStatistics 2015」で発表されている。そこでは記述するマルコフ過程によって系列を扱っており、推移確率の時間的発展を円周分布に留める橋渡し(binding)をする関数にも円周分布を使用している。将来的にはその関数の分位数回帰や母数の有効推定を考えて、系列の時間的進展の記述・制御を実現したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の基礎となる分位数回帰の有効性を示す際の計算において見直しを要する箇所が判明し、その修正するのに若干想定以上の時間が掛かった。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎となる結果を整理して雑誌投稿して、続く確率的検閲に関する結果は本年度シカゴで開かれる「JSM 2016」で発表する。これらと並行して「研究実施計画」に記載した他の応用についても進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定の統計処理ソフトについて、バージョンアップのタイミングや他社製品との比較により昨年度の購入を見送ったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の統計処理ソフトに限らず、ソフトウェアなどは適切なタイミングを見極めて購入したいと考えている。
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Research Products
(4 results)