2016 Fiscal Year Research-status Report
包括的アプローチによる分位数回帰の有効推測とその応用
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15K21433
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷合 弘行 早稲田大学, 国際学術院, 助教 (40579653)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分位数回帰 / セミパラメトリック / 確率的検閲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新しい視点から得る「分位数回帰モデルの有効推定」とその応用について取り組んでいる。ここで言う“新しい視点”とは、分位数回帰モデルの母数は関数として捉える必要があることに着目して、関数空間での考察を与えている点である。具体的には混合モデル(mixture model)とZ推定量の理論から捉え直している。 そこで本年度はその結果の応用として、確率的検閲(random censoring)されたデータの分析を対象とした。それは生存時間分析において見られるような、実験対象が期間中にランダムなタイミングで退場してしまう状況である。何も情報が無い状況においては経験分布に基づいた既存の推定量が持つ良い性質が知られているが、経験分布(の逆関数)が分位数回帰によって説明されているという追加的な情報は推定量の改善を可能にする。ここへ分位数回帰に関する自身の結果を応用することで更なる改善が可能であることをシカゴでの「JSM 2016」において口頭発表をした。そこでのフィードバックなどを踏まえて現在は雑誌投稿に向けて準備中である。 さらに別の応用先として、いわゆる「large p, small n」という高次元小標本データの分析を対象に取り組んでいる。そのようなデータの分位数について何らかの条件が課されたり期待できたりするとき、本研究が与える推測手法はその条件付き数理計画問題の解を統計的な意味で改善する。これについては高次元小標本データに関する既存の経験確率過程の結果を援用して実現する予定である。 他に平成28年度には、昨年度から共同研究という形で参加している方向統計学での研究が論文として掲載された。将来的にはそこで扱った橋渡し(binding)関数の分位数回帰や母数の有効推定を考えて、系列の時間的進展の記述・制御を実現したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正確を期するために幾つか精査すべき箇所はあるが、応用などと並行して進められる性質のものであるので、全体としては予定通りの進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎となる結果を整理して雑誌投稿して、続く高次元小標本データに関する結果は本年度ボルチモアで開かれる「JSM 2017」で発表する。これらと並行して「研究実施計画」に記載した他の応用についても進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定の統計処理ソフトについて、バージョンアップのタイミングや他社製品との比較により本年度の購入を見送ったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の統計処理ソフトに限らず、ソフトウェアなどは適切なタイミングを見極めて購入したいと考えている。
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