2016 Fiscal Year Research-status Report
fMRIを用いた児童におけるスポーツ経験と社会性発達の関連性
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15K21464
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
川田 裕次郎 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 助教 (40623921)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会性 / マインド・リーディング / 共感性 / 心の理論 / 児童 / スポーツ / fMRI / 神経心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、試作した児童版のマインド・リーディング(他者の気持ちを理解する能力)を測定するテストの信頼性と妥当性の検証、作成された児童版のマインド・リーディングを測定するテストを用いて児童の実態把握を実施することとした。 具体的な進捗状況は、同意の得られた男児と女児に児童版のマインド・リーディングを測定するテストを実施してテストの信頼性と妥当性の検証を行った。分析の結果、信頼性(再現性など)、妥当性(基準関連妥当性など)の指標において統計学的に十分な値を得ることができた。次に、児童の個人属性とマインド・リーディングの関連を検討したところ、国外の研究と同様に性差が確認され女児のほうが男児よりも高い得点を示した。また、児童の運動経験とマインド・リーディングとの関連性が示され、運動経験がマインド・リーディングの獲得に関連している可能性が示された。さらに、児童のマインド・リーディングと学校適応との関連性が示され、マインド・リーディングの獲得が学校適応に関連する可能性が示された。 今年度の主な学術的な成果としては、マインド・リーディングを測定する手法の発展、国外で作成されたマインド・リーディングを測定するテストを日本人に適用する際の注意点について英文でまとめ国外に発信することとした。また、今回の調査で得られた調査結果について国内外の学会において研究発表を行い国内外の研究者と意見交換を行った。調査実施先の小学校教員と調査結果について共有し教育改善に役立てる方法について討議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施予定であった調査を行い研究が進展した。そのため、進捗状況としては「おおむね順調に進展している」状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、予定していたfunctional Magnetic Resonance Imaging(fMRI)を用いた実験を実施していく。作成された児童版のマインド・リーディングを測定するテストをfMRIの中で実施し、他者の気持ちを理解しようとする時の脳活動を記録していく。どのような脳部位が子どもの社会性の発揮に関連するのかを明らかにすることで、社会性を獲得することが困難とされる自閉症、アスペルガー症候群などの病理解明への波及効果が期待できる。実験の結果が得られ次第、国内外の学術学会で発表と論文化を行い広く社会に公表していく。
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