2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21470
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
武田 はるな 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80647975)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マウス / 遺伝子 / スクリーニング / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
SB挿入変異誘発法を用いて、Smad4遺伝子ノックアウトマウス生体内で胃の腫瘍形成を誘導した。腫瘍ゲノムの解析によりSBトランスポゾン挿入部位を同定し、胃がんのドライバー候補遺伝子を1026個を同定した。これら遺伝子に関してパスウェイ解析を行い、どのようなシグナリング経路や生物学的機能が脱制御を受けているかを解析したところ、Wnt経路、TGF-beta経路といったヒトの胃がんでも高頻度に変異を受けているシグナリング経路に、挿入変異が高頻度に観察された。さらに、ヒトの胃がんと同様、細胞間接着に関わる遺伝子やクロマチンリモデリングに関わるSNF/SWI複合体の構成分子にも高頻度に挿入変異が入っていることが明らかになり、ヒトの胃がんをよくモデルしていることが示された。 次に、1026個の候補遺伝子のうちヒトの相同遺伝子がある941個の遺伝子に関して、ヒトの胃がんで変異のある遺伝子と比較を行った。比較には、胃がんゲノム解読を行った報告やがん組織で変異が見つかった遺伝子に関する公共のデータベースであるCOSMIC、TCGAを用いた。共通して変異のある遺伝子を抽出したところ、胃がん形成に関わる既知の遺伝子が多数含まれていたが、胃がん形成に関わることが報告されていない新規遺伝子も含まれていた。このうちの一つであるLrp1bは、細胞内で過剰発現させると細胞増殖が抑えられるという報告があること、ヒトのがんにおいてLRP1B遺伝子全体の欠損が観察されることからがん抑制遺伝子であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランスポゾンが高頻度に挿入されているゲノム部位を統計解析により同定したが、2種類の統計方法を用いて共通挿入部位(common integration site: CIS)を決定し、これらの結果を統合して遺伝子同定をおこなったため、当初の予定よりも時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した候補遺伝子に関して培養細胞等を用いて機能検証実験を行う予定である。まずは機能検証を行うためのがん抑制候補遺伝子と考えられるものを約100個を選び出す。次に、CRISPRなどのゲノム編集技術を用いて遺伝子のノックアウトを行う。用いる細胞は、マウス正常胃上皮細胞とし、増殖因子非存在下で増殖能を獲得する不死化細胞を選び出す。これらの細胞をマウスに移植し、生体内でのがん形成能を評価する。
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