2015 Fiscal Year Research-status Report
「都市カーネル」を指標とした「多極ネットワーク型コンパクトシティ」の実践的研究
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15K21472
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
木川 剛志 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (50434478)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コンパクトシティ / 多極ネットワーク / 都市カーネル / 敦賀 / 都市形態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、現在、改正都市再生特別措置法で目指されている新しいコンパクトシティの形、「多極ネットワーク型コンパクトシティ」が実際に地方都市でどのように解釈されて政策化されるかを形態学の視点から分析し、これまでに申請研究者が提案してきた「都市形態」「都市カーネル」の概念を用いてその問題点を抽出して、地方都市に実現可能な処方箋を導出することを目的としている。この目的のために、H27年度の研究では、敦賀を中心に分析を遂行し、さらに富山の予備調査、また全国の自治体の政策について情報収集を行ってきた。 敦賀においては、過去の地図、現在の都市形状の分析、さらには敦賀戦災復興史などの歴史資料、さらには敦賀の個人所有の空襲の直後の写真などを入手した。また、これらの資料を踏まえて、行政関係にもインタビューをおこなっている。インタビューからは、特別措置法の目的の一つでもある都市機能誘導区域を選定することは可能でもそれを縮小することは実際にはかなり厳しい意見が多いこともわかった。 改正都市再生特別措置法に基づく計画案はH28年4月1日現在では276団体が具体的な計画を進めており、このうち箕面市と熊本市のみがすでに計画を作成、公表している。そして、平成28年度中に109都市が計画を作成・公表する予定である。 すでに公表されている箕面市の計画についてはすでに概要を入手し、分析を進めている。内容からはネットワーク型というよりは既存の都市領域を維持することが大きな骨子となっていることが読み取れた。Space Syntaxなどから導かれる都市形態の概念から導かれるネットワーク型ではなく、ゾーニング中心の計画であることがわかった。 以上が現在までの研究実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者本人が、申請時から所属先を変更したことが大きな理由となり、それまでの経常的に使用していた設備がなくなったので、その整備のために半年は十分な研究を進める事ができなかった。撮影機器、分析機器が整備されてから、主として敦賀の調査を行った。予備調査としては富山市、高岡市の調査も行っている。また、改正都市再生特別措置法においてモデルとなっている富山市や宇都宮市などの計画書がおそらく最も早く公表されそれを検証することを予定していたが、事前の想定とは異なり箕面市がもっとも早かった。そのため、計画書を現状の都市解析とともに分析することが予定通り行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
おそらく平成28年度中に、富山市、宇都宮市など、改正都市再生特別措置法のモデルケースとなる都市の計画書が公表されると思われるので、それらの分析をしっかりと行う。また、平成27年度に進めた敦賀市の分析を査読付論文として提出する。箕面市の計画書についてはSpace Syntaxの分析結果と比較しながら、速報として査読のない研究会などで公表していく予定である。また、国土交通省が今回の法改正に先進事例として紹介している海外都市も実地調査を行いながら分析する。
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Causes of Carryover |
論文掲載を行う予定であったが、新規知見を発見したので、次年度に発表を延期することとなった。そのために投稿料を次年度使用とする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
査読付き論文の投稿料に使用する。
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