2015 Fiscal Year Research-status Report
人流ビッグデータ解析による近接遭遇特性の解明とその近接情報サービスへの応用
Project/Area Number |
15K21473
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
藤原 明広 福井工業大学, 環境情報学部, 准教授 (70448687)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モバイルネットワーク / ビッグデータ分析・活用 / 近接情報サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は人流ビッグデータを用いた近接遭遇特性の解明を行った.具体的には,擬似人流データを用いて(1)日本の都市圏における人や車といった移動ノードが近接遭遇する位置の特定,(2)感染型ルーチングにおける情報伝播特性の通信距離依存性とその可視化を行った.人や車の移動データとしては,首都圏,中京圏と京阪神圏のものを用いた.前者については可視化によって,人が集中する駅近辺や幹線道路上において近接遭遇する機会が多くなることが分かった.また後者については,感染型ルーチングにおける情報伝播は車の速度に比例して広がっていくことも分かった.また,通信距離については最寄の幹線道路までの距離を超える領域においてパーコレーション転移的に急激に情報伝播が進むことが分かった. 一方,一日で首都圏全体に情報伝播させる為に必要な通信距離を感染型ルーチングのシミュレーションを行うことで推定する研究も行った.初期に一つの移動ノードのみが持つ情報を感染型ルーチングを用いて情報伝播させるシミュレーションを初期ノードの選択をランダムに変えて行い,一日経過後に情報伝播により情報を保持するノード数を最終規模とみなし,この最終規模と通信距離との関係をロジスティック回帰分析で調べた.当てはめた回帰曲線の変曲点の位置に対応する通信距離を情報伝播させる為の適正な通信距離として,この通信距離と移動ノード数の関係を調べた.その結果,都市圏の種類に依存しない普遍的なスケーリング関係式に従うことが分かった.また,この関係式から感染型ルーチングに参入しているノード数から感染型ルーチングを成功させるのに必要な適正な通信距離を見積もることも可能になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者らの助言により擬似人流データの可視化や近接遭遇特性だけでなく,感染型ルーチングにおけるスケーリング関係式を得ることができた.これは都市圏に依存しない普遍的な結果である可能性があり,当初の予定通りに近接遭遇特性に関する基本的な法則を発見できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の成果として得られたスケーリング関係式を擬似人流データ以外の様々なデータにおいて検証していく予定である.また,感染型ルーチング以外のその他の遅延耐性ネットワークにおけるルーチング・プロトコルについても性能評価も行う.また,最終的に近接情報サービスとして宣伝・広告の効果や誘導システムとしての有効性についても検証していきたい.
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